1期目の取り組みをさらに加速 「オール古賀」で新たなステージへ(後)
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古賀市長 田辺 一城 氏
福岡都市圏北東部に位置し、豊かな自然環境や交通アクセスに恵まれた立地から、ベッドタウンや工業団地、物流拠点などの多様な発展を遂げてきた古賀市。同市では2018年12月に就任した市長・田辺一城氏の主導で、数々の先駆的な取り組みが進められてきた。2期目を迎えたばかりの田辺氏に、1期目の振り返りと2期目の展望について聞いた。
産前・産後から育児期まで、伴走型の子育て支援に注力
──22年を振り返って、いかがでしたか。
田辺 昨年の大きな動きとしては、やはり“チルドレンファースト”をよりかたちとして政策を見える化できたかなと思っています。
国でも現在、いわゆる妊娠・出産・乳幼児期における切れ目のない伴走型支援を打ち出していますけれど、実は古賀市では、国が行っている支援策の大半をすでにやっています。たとえば、すべての妊婦さんを対象に、保健師などの専門職が個別に家まで行ってアプローチを行うという事業を行っています。これは子どもが生まれる前から、妊婦さんと我々行政との信頼関係の構築を始めるのが目的で、産む前から支え、そして産後の支援にもつなげていくというものです。
また、通常の乳幼児健診のほかに、生後6カ月のお子さんを対象とした「6カ月児相談」も始めたほか、「うまれてきてくれてありがとうBOX~こがたからばこ~」という事業も始めました。北欧・フィンランドでは子どもが生まれると、政府から「ベビーボックス」と呼ばれる育児用品の詰め合わせボックスが贈られるそうですが、その“古賀版”みたいな取り組みで、地域全体で「社会の宝」であるすべての子どもの誕生をお祝いし、皆で1人ひとりの子どもと子育て家庭を支える思いを伝えるために、赤ちゃん用品とコスモス広場お買物券を詰め合わせた「こがたからばこ」を、乳児家庭全戸訪問の際にプレゼントするものです。
こうして、生まれる前から、産んだ後、そして育てていく過程で接触機会を増やしながら「今、何かお悩みありませんか?」と丁寧に寄り添うことで、子育て支援につなげていきたいと思っていますし、22年はそうした取り組みがとくに強化できたように思います。
加えて、県内の公園では初の赤ちゃん用紙おむつ自販機の設置や、男性トイレへのサニタリーボックスの設置など、「誰もが生きやすい古賀市へ」という取り組みは、22年にさらに進められたかと思います。
居住機能を強化しながら古賀市を未来につなぐ
──2期目・4年間では、とくに何に注力されていかれますか。
田辺 一番重要なのは、何よりも居住機能の強化だと考えています。やはり福岡市近郊の都市圏に位置する自治体として、多くの方に「古賀市は暮らしやすい」「住みたい」「住み続けたい」と思っていただけるまちづくりを、さらに強化していかなければならないと思っています。
というのも、先ほどお話したように、1期目4年間では、産業力強化の方針の下に企業誘致──つまり、働く場の創出ということにとくに力を入れてきました。これから、各所で産業団地などの造成工事が始まり、働く場が形成されていきます。すると、職住近接というか、古賀市内でも一定規模の都市開発による居住機能の強化が必要になってきます。
中心市街地であるJR古賀駅周辺でも開発は進めていくのですが、ある程度の面的な、いわゆる住宅地の形成が必要だと考えており、古賀中学校の周辺にあたる新久保南地区での新たな開発を検討しています。これは私の2期目の公約で盛り込み、すでに動き出していますが、地元地権者の皆さんのご理解・ご協力をきちんと得たうえで、国と県の理解も得て、25年度末までに、都市計画法などに基づく市街化区域の編入や地区計画の設定を終えたいと思っています。
なお現在、福岡市では「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」が進んでいますが、これから新たなオフィスが次々と誕生して働く場が形成されていくでしょう。そこで働く人々にとって、福岡市内に住む以外に、少し離れた古賀市に住むことも選択肢に入れてもらえるよう、しっかりと住む場所の“受け皿”になれるような環境整備も進めていきます。
──2期目の実質初年度にあたる今年(23年)の目標は何でしょうか。
田辺 2期目の選挙時に公約に掲げたものを、とにかくできるものから順次着手していかなければならないと思っています。
まず初めに、3~6歳の医療費無料化については、可及的速やかに実現を図り、18歳までの拡大を段階的に検討していきたいと思います。また、1期目で着手した工業団地の拡大についても、青柳迎田地区などでは地元との調整を具体化していき、工業団地化に向けた手続きを始めていきたいと考えています。
ほかには、公民連携の取り組みには力を入れてきていますが、これをさらに進化させていきたいと思います。たとえば、本市では企業との連携協定も積極的に増やしていますが、23年はとくに環境分野の取り組み―ワンヘルス(One Health)推進やゼロカーボンシティ宣言などに寄与する先駆的な取り組みを、企業との連携によって具体的に動き出せたらいいな、と思っています。
こうしたさまざまな先進的な取り組みを進めていく一方で、今の古賀市を築いてきてくださった先人の皆さまのご尽力への感謝を忘れることなく、継ぐべきものは確実に継いで、そこに社会の価値観の変容を捉えた新たな発想を加え、持続可能性を高めながら古賀市を未来へとつないでいきたいと思います。
(了)
【坂田 憲治】
<プロフィール>
田辺 一城(たなべ・かずき)
1980年5月、古賀市出身。福岡県立福岡高等学校、慶応義塾大学法学部法律学科を卒業後、2003年に毎日新聞社入社。11年4月に福岡県議会議員に初当選し、2期務める。18年12月に古賀市長に初就任し、現在2期目。政治信条は「現場主義」と「対話」。みんなで共に進む「オール古賀」の市政運営でまちづくりを展開中。法人名
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