日本に対するイタリアの強い関心 日伊の架け橋としてのディサントの役割(前)
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ディサント(株)代表取締役
日伊経済連合会会長
ディサント・ダニエレ 氏日本・イタリアに特化した国際事業のコンサルティングを行うディサント(株)代表取締役社長のディサント・ダニエレ氏。日伊経済連合会会長として、日伊間の全面的な経済交流の促進にも携わっている。ディサント氏は日本在住17年、日本で会社を設立して13年、世界がコロナ禍を乗り越えつつある今日、ディサント社のビジネスも新たな段階に入り、ローマ事務所を開設する予定であるという。ディサント氏に話を聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス代表取締役社長 児玉 直)
日本、イタリアのビジネス交流は新しい段階へ
──今年から拠点をイタリアのローマへ移すと聞きました。ローマ事務所ができることによって、今後、御社のビジネスはどのような方向へ向かうのでしょうか?
ディサント・ダニエレ氏(以下、ディサント) 世界はいよいよコロナ禍の経済停滞を脱しつつあります。イタリアでもコロナによって受けた経済的ダメージから回復するために、政府、企業、経済団体が活発に動き始め、技術・経済交流に対する意欲がとても強くなっています。
最近、日本から当社への依頼は主に企業や自治体からで、イタリアで具体的に何かをしたい、またはイタリアのある商材の権利がほしいなど目的が明確なものが中心であり、一方でイタリアからは市場調査や情報収集などの依頼を多く受けていました。
しかし、今後はイタリア側の需要が旺盛になり、よりピンポイントに、こういう分野のこういう課題を解決できる技術が必要、といった依頼が増えていくと考えています。イタリア側の投資意欲がとても強く、イタリアが必要としている日本側の企業や新しい技術の情報を提供することで、期待感の高いフィールドで日本企業へも円滑にイタリアの当局や事業者とマッチングが提供できるようになります。ローマに拠点を移すことで、よりスピーディーにビジネスを展開します。
──イタリアの企業がそれだけ今日本に対して関心をもっている理由は何でしょう?
ディサント いろいろな背景があります。イタリア人はもともと日本に対して好意的な印象をもっているということもありますが、今日の情勢として、コロナ後の経済復興が求められていることが挙げられます。
イタリア経済はコロナによって大きなダメージを受け、復興が早急な課題となっており、その解決のため、、イタリアは日本がもっている高度な技術に強い関心をもっています。また、両国は、高齢化社会など抱えている課題も似ています。イタリアには、共通の課題を抱える日本がもっている問題解決の技術に対する期待があります。
他にも、1年前に起こったウクライナ戦争をきっかけに、世界中の人々がエネルギーや食料確保への不安を感じるようになり、イタリアでも、エネルギーを海外に依存するのではなく、国内で供給する方法を確立しなければならないという機運が高まっているなかで、日本の革新的なエネルギー関連の技術の情報について大きな関心を寄せています。EUでは現在、コロナ禍からの復興のために資金を有利に調達できる制度があります。潤沢な資金を得られることから、イタリアでは日本の技術を取り入れようという意欲が高まっているのです。
そして、2025年には大阪万博もあります。イタリアで15年に開催されたミラノ万博は大成功で、イタリアのいろいろな機関や団体が大阪万博でも存在感をPRできるよう関心を寄せています。G7サミットが今年日本で開催されますが、来年はイタリアの番です。その頃にはコロナ禍から明けて、両国の往来が個人レベルだけでなく大きなレベルで再開できることを強く期待しています
変化する生活スタイル、情報交流の重要性
──EUでは35年にはガソリン車の新車販売が禁止されると報道されています。生活スタイルが今大きく変わりつつありますね。
ディサント これから人間の生活スタイルはどんどん変わっていくでしょう。移動手段が変わり、企業の製造システムも変わります。社会は急速な高齢化を迎えて、労働力が不足します。そのような社会をどのように支えていくかという課題にも直面します。また、大量に安くモノを消費するという時代は終わり、これからは環境への配慮から、量は少なく、しかし質が高いものを消費する時代になります。安価な生産力に頼るのではなくて、高い技術力によって生活の質を高める方向へとトレンドは変わっていくでしょう。
イタリアと日本が抱えている経済的、社会的な課題について、それぞれの国で政府や企業が解決に向けて取り組んでいるのを長年見ていくなかで、日本で行っている方法でイタリアでも有効と思われるものが多くあることに気づくようになりました。それぞれの国で取り組んでいる方法について情報交換をするのはとても有効であると考えています。
これからのビジネスのかたちとして、何年も前から私が訴えてきたことは、今後、世界は商品を売買するのではなく、システムや技術をやりとりする時代になるということです。しかし、安全保障上の問題から、積極的な交流ができる国と、それが難しい国に分かれつつあることもたしかです。日本とイタリアは友好関係にあり、今後も問題なく交流ができる国です。そのようなことから、イタリアでは、日本は経済的交流をより深めるべきパートナーであるという認識が高まっています。
(つづく)
【文・構成:寺村朋輝】
<COMPANY INFORMATION>
代 表:ディサント・ダニエレ
所在地:福岡県大牟田市汐屋町1
設 立:2010年3月
資本金:800万円
TEL:0944-85-7733
URL:https://disantocorp.com
<プロフィール>
Daniele Di Santo(ディサント・ダニエレ)
1979年10月、イタリア・ローマ出身。2010年3月にディサント(株)を設立し、代表取締役に就任。イタリアと日本の経済交流の活性化を目指し、相互の経済・文化などの関係や交流を強化・促進する活動に従事している。13年から「西日本国際ビジネスフォーラム(現・日伊フォーラム)」を毎年開催しているほか、15年に「日伊経済連合会」を立ち上げ、会長に就任した。法人名
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