2024年11月24日( 日 )

エフ・ジェイ ホテルズ、海外リピーター急増の秘訣(後)

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(株)エフ・ジェイ ホテルズ

 国際的なブランド力を誇るグランド ハイアット 福岡、ハイアット リージェンシー 福岡を運営する(株)エフ・ジェイ ホテルズ。インバウンドの恩恵を多分に受け、アジア諸国からの観光客が急増中だ。新感覚のスマートホテル、フォルツアにもインバウンド効果がみられることが、同社の経営を後押ししている。

グランド ハイアット 福岡<

グランド ハイアット 福岡

 「福岡市内のホテルはどこも稼働率が前年比5%ぐらいは上がっていると思います。私どものホテルも例外ではありません」と、(株)エフ・ジェイ ホテルズ専務取締役の清原邦彦氏は語る。同社を代表する2つのシティホテル、グランド ハイアット 福岡(以下、グランド)とハイアット リージェンシー 福岡(以下、リージェンシー)も各々5%増加し、グランドで75~80%、リージェンシーは90%近い稼働率を誇る。東日本大震災が起きた翌年の2012年をボトムとして4年連続で右肩上がり。その伸び幅が年々広がってきている。そのなかで海外宿泊客はグランドで全体の40%、リージェンシーでは30%を占める。「ホテル業界はアベノミクスが始まって、インバウンド効果の恩恵を一番感じている業態ではないでしょうか」と、清原専務。
 最近の海外旅行客の傾向は、団体客より個人客の需要が増えつつあること。370室を備えるグランドでは団体旅行を受け入れられるのが強みだったが、この枠を減らしても個人客の需要が稼働率を上げている。

 国として多いのは、グランドでは韓国、台湾、香港。リージェンシーでは台湾、香港、シンガポールがそれぞれ上位3位を占める。リージェンシーでは韓国は4位だ。多い国の違いは、それぞれのホテルが提携しているエージェントの強みが影響している。韓国はリーマン・ショック以前から、福岡に訪れる旅行客が多く、社会情勢が影響を与えたという印象はほとんどない。急増したのはシンガポール、香港の需要だ。とくにリージェンシーでは香港客が一番伸びた。個人客においては、前年の2倍に増えている。グランドでは毎年、年末にイヤー・エンド・パーティーを行うが、そこにもインバウンドの客が多く、裕福なシンガポール、香港の人たちが優雅に楽しむ姿が見受けられるという。
 シティホテルでも個人旅行が増えた背景にも、ホテルフォルツァ博多と同じくネット予約やLCC利用者の増加の影響があるとみられている。これに加えてリピーター客増加の影響もある。一度、団体旅行で訪れ、すっかり日本ファンになった人たちが、次は個人で日本を訪れ、レンタカーで自由に九州各地を回る。「今年もお気に入りの温泉に入りに来ました」と言ってもらえるような、そんな旅行スタイルが増えつつある。旅行代理店を介した企画ツアーが中心だった国でも、観光旅行の在り方が多様化しつつある。今後さらに大切になるのは、リピーターから「選ばれるホテル」であり続けることだ。

ホテルフォルツァ博多<

ホテルフォルツァ博多

 これから3,000万人に突入すると言われるインバウンド市場に参入しようという異業種企業も多い。比較的参入しやすいホテル業界には新しいホテル経営企業が増え、競争がさらに激化していくことだろう。そのなかにあって「選ばれるホテル」であり続けるために、今まで以上にホテルサービスのブランド化を行う必要がある。
 選ばれるためには、両ホテルでしか体験できない贅沢な、そして心のこもったサービスの提供が必要であり、そのためには良質なコミュニケーションを提供することが大切になる。要となるのは、潤滑なコミュニケーションに欠かせない語学力、そして相手国の文化への理解だ。同社では、これまでスタッフ採用時に英語に堪能な人材を選んできた。しかし今のようにアジア諸国から人々が集まるようになると、英語だけではなかなか行き届かない面も生じる。今は韓国語、中国語ができ、相手国の文化に理解を持つスタッフも意識して採用している。「最近の若い方も勉強熱心で、韓国や中国への留学も積極的に行っているようですよ」と清原専務は、未来の人材に期待している。

(了)
【黒岩 理恵子】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:橋口 和夫
所在地:福岡市博多区博多駅東2-14-1
設 立:1978年3月
資本金:9,950万円
TEL:092-473-7117

 
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