「5%前後」の中国経済成長率目標をどう考えるか?
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3月5日に発表された中国政府の活動報告では、2023年の中国の国内総生産(GDP)成長率目標が「5%前後」と設定された。これについて専門家は、「このような設定は必要なことであり、実行可能なことでもあり、3つの考慮を反映している」との見方を示した。
1 発展への予想を安定させる
目下、中国の経済回復を抑制している要因として、需要の縮小、供給への影響、期待の弱まりという三重の圧力が依然として大きい。経済回復の基礎がまだしっかりしていないため、各種の予想を超えた要因がいつでも発生する可能性がある。科学的で合理的な成長率目標の予想は「旗振り役」に相当するものであり、各分野の発展にむけた自信を高め、共通認識を集約するうえでプラスになるものだ。
米ジョーンズ・ラング・ラサール中華圏のチーフエコノミスト兼研究部ディレクターを務める厖溟氏は、「中国のこの設定は昨年の基数の低さによる影響を考慮し、また、第14次五カ年計画(21~25年)と35年までの長期目標が経済の潜在的成長率に対して打ち出した要求を考慮し、さらに、経済運営の合理的な範囲への加速的な回帰、経済の長期的に安定した運営と持続的で健全な発展の維持という必要性を考慮したものだ」との見方を示した。
2 多様なニーズに応える
民生の弱点を補強し、貧困脱却の成果を固め、小規模・零細企業の困難を取り除く……中国は大国としての発展のなかに定められた各目標のすべてについて、財政的・物的保障を必要とする。経済が量として合理的な成長を遂げなければ、多様な発展のニーズに応えることができず、顕在化しているリスクだけでなく潜在リスクも表面化してしまう可能性がある。
厖氏はさらに、「GDPが1ポイント成長するごとに新たな雇用を200万人から220万人ほど生み出すことができるという点を考慮して、今年の中国のGDP成長率目標は5%前後で保たれ、経済は好転と上昇の模様を呈しており、今後、都市部における新規就業者の目標達成にむけた力強いサポートを提供することになるだろう」と述べた。
また、政府活動報告は、経済の「量の増加」を力強く促進すると同時に、複数の「質の向上」の任務も設定することによって、近代型産業システムの建設加速をはじめとして、外資のさらなる誘致・利用、またさらに発展モデルのグリーントランスフォーメーション(GX)の推進までを打ち出している。分析によれば、この動きは中国が経済の回復成長の基礎固めに着目するだけでなく、さらに経済の活力、イノベーション力、競争力を引き続き向上させようとしていることを意味するものだという。
3 実行可能性が保障されている
新型コロナウイルス感染症対策において、重大な決定的勝利を収めたのにともなって、年初以来の中国の経済活動は正常な状態を急速に回復してきた。重要な経済運営の先行的指標として、2月には中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)が大幅に回復して52.6%の景気拡大局面に入った。
23年のスタート時期における中国の一連の好況感を察知して、最近は世界の有名機関も相次いで中国経済への評価を高めている。国際通貨基金(IMF)は今年の中国経済成長率予測を大幅に上方修正して5.2%とし、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、HSBC、JPモルガン・チェースなどの大手国際機関投資家も23年の中国経済成長率予測をそろって引き上げた。
これを背景に、中国民生銀行のチーフエコノミストの温彬氏は、「今年、中国が『5%前後』の成長率目標を達成する可能性は高い。理由は3つ。第一に、現在進められている感染症対策の最適化と調整は、経済の回復にとってプラスだ。第二に、ストックの政策と量の増加の政策は、相乗効果をあらわすだろう。第三に、比較の対象となる前年同期の基数が低い。以上を総合的に見ると、今年の中国の実質成長率は、より高い水準に達する見込みだ」との見方を示した。
「5%前後」の中国経済成長率目標をどう考えるか?
中国国家発展改革委員会の趙辰昕副主任は6日に行われた国務院新聞弁公室の記者会見で、「5%前後の中国経済成長率目標は経済の運営情勢に合致し、経済の発展法則にも合致する。それと同時にこの目標は、各方面が経済発展の質と効率の向上に対して、注目を向けるように誘導し、イノベーションの発展構造の構築を加速するとともに、質の高い発展を推進するうえでも有利だ」との見方を示したと、新華社が伝えた。
趙氏は今年の経済成長率目標をどのように考えるかについて、「まず、中国は今もなお発展途上国であり、発展こそが第一の重要任務だ。中国共産党第20回全国代表大会(第20回党大会)で確定された目標任務を実現させるには、発展の質・効率の向上を基礎としたうえで、合理的な経済成長を長期にわたり維持しなければならない。同時に、雇用の拡大、民生の改善、リスクの防止・解消などの取り組みを統合的に推進しなければならず、一定の経済成長率をキープすることが必要だ」とした。
そして、「5%前後の目標は経済運営情勢に合致する。現在、各地域は発展への自信と意欲が旺盛だ。31省・自治区・直轄市のうち27カ所が確定した今年の地域の経済成長率目標は全国目標を上回り、そのうち23カ所は5.5%以上となっている。各地域の発展への自信と着実な措置は、全国で目標が達成される条件をつくり出し、基礎を固めている」と続けた。
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