2024年12月23日( 月 )

仏大統領の訪中3日間で生まれた大型商売とは(後)

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ベルサイユ宮殿 イメージ    中仏両国はまた、文化や科学についても提携を進める。国交樹立からちょうど60年となる2024年を文化観光年とし、中国の故宮でこの年4月から6月までフランスのベルサイユ宮殿の保存品150点を展示することになった。さらに、両国の学生や教員の交流に向けてビザの手続きを簡略化するという。

 そして両国は、「ユベール・キュリアン-蔡元培のパートナー関係」と称し、科学に関する共同研究グループの設立や論文の審査といったかたちでの連携を再開することでも合意している。 

 マクロン氏は中国訪回中、仏紙レゼコーと米政治専門サイト「ポリティコ」の共同インタビューに応じ、欧州は対立を加速させず、米中間の第3極としての地位を築くために時間をかけるべきであると発言。ボリティコによると、マクロン氏は、「最悪の事態は、欧州がこの話題(台湾問題)で追従者となり、米国のリズムや中国の過剰反応に合わせなければならないと考えることだ」と語った。

 同氏はまた、欧州は防衛産業への資金供給を強化し、原子力や再生可能エネルギーを開発し、米国依存を抑えるためにドルヘの依存度を下げなければならないとも述べた。マクロン大統領の顧問は7日、広州で記者団に対し、習主席とマクロン氏は会談で台湾問題について「濃密で率直な」議論を交わしたと説明。「大統領は、中国が攻勢に転じるような事故や緊張の激化がないように注意すべきだと感じている」と語った。

 習近平国家主席は7日、マクロン大統領と中国南部の広東省広州市内で「非公式会談」も行った。両首脳は6日に北京で会談しており、習氏自らが北京以外の都市に出向いて海外首脳を歓待するのは異例だ。中国は欧州のなかでも米国と距離を置くフランスを取り込むことで、対中包囲網を切り崩そうと躍起になっている。

 中国中央テレビによると、習主席は「今の中国を理解するには歴史から始めなければならない」と述べ、広東省が改革開放の最前線になった経緯などを説明。マクロン氏は「真の友好は相互理解と尊重だ」と応えた。習氏はその後1000年の歴史があるとされる古琴の演奏や2日連続の夕食会でマクロン氏をもてなした。

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 一方、マクロン氏とともに訪中した欧州連合のフォン・デア・ライエン委員長に対しては会談のみの型通りの対応だった。中国紙・環球時報は、人権問題などで厳しい姿勢も示す同氏訪中は、欧州が「中国寄り」とみられないようバランスを取った結果と指摘。習氏は対中姿勢によって待遇に差をつけた。

 中国は多国間交渉よりも2カ国間協議を好む。今回の対応はフランスとの関係強化を重視し、リトアニアなど反中色の強い国も加盟するEUが、対中包囲網で結束しないようけん制する狙いがあるとみられる。

 7日付ニューヨーク・タイムズ電子版は、マクロン大統領は習近平国家主席と約6時間にわたって会談し、フォン・デア・ライエン委員長も一部の会談に参加したと伝え、仏大統領と欧州委員会委員長の訪中は、中国に対する米国と欧州の優先順位の違いを浮き彫りにしたと報じた。

 トランプ政権下で国防次官補代理を務めたエルブリッジ・コルビー氏は、欧州の首脳らがビジネス関係の促進のため訪中したことについて、米国側は驚くべきではないと指摘。コルビー氏は「欧州の人々は、中国に対して経済戦争を起こす気はないというシグナルを公に発している」と語った。

(了)


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