実績は公私混同だけの岸田首相
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は、「実績は公私混同だけの岸田首相」と訴えた6月4日付の記事を紹介する。
岸田首相は中学生から首相を目指した理由を問われ、「総理大臣は日本の社会の中で一番権限の大きい人なので、総理大臣を目指した」と答えた。
本年3月に福島県相馬市で開かれた「こども政策対話」でのやりとり。権力を持つために首相を目指したということ。社会をこうしたいから、人々にこのように尽くしたいから首相を目指したのではなく、権力者になりたいから首相を目指したのだと聞こえる。
岸田氏は回答のなかで「やりたいと思うことを実現する、やめてほしいと思うことをやめてもらうに
は、やはり力を付けないといけない」と述べているから、やりたいと思うことを実現するには権力を握らないといけないと主張しているようにも見える。その岸田氏が首相の座を射止めた。いまこそ、「やりたいと思うことを実現する」千載一遇のチャンス。岸田首相は広島でのサミット開催にこだわった。広島は世界に名を遺す被爆地である。その広島でのサミット開催にこだわった。
主要国のトップが広島に参集した。全世界に向けて岸田首相の想いを発する最大の機会が訪れた。岸田首相が核廃絶をやりたいと思うなら、これ以上の舞台はなかったはず。サミットの日本開催は7年に1度しかない。
7年後に岸田氏が首相の座に残留していると岸田氏が考えているとしたら驚異だ。広島の地から核廃絶を訴えるべきだった。国連は核兵器禁止条約を定めた。多くの国が署名し、国内手続きを進めてきた。しかし、G7は核兵器禁止に背を向けている。
このなかで、日本がリーダーシップを発揮してG7を核兵器禁止条約の枠組みに組み込むべきだ。まずは日本が率先して核兵器禁止条約に踏み込むべきである。日本は世界で唯一の核兵器被爆国なのだ。
ところが、広島サミットで発表した「広島ビジョン」に何を記載したのか。「核兵器は役に立つ兵器である」という宣言だった。核兵器を禁止することを宣言するのではなく、核兵器は役に立つ兵器であることを世界に宣言した。
核兵器保有を正当化する米国にひれ伏す日本。米国にひれ伏すことが、岸田氏が首相でいることのできる源泉だ。要するに、岸田氏は「やりたいことをやるために総理になった」のではなく、「総理になるためなら、やりたいことなどすべてかなぐり捨てる」ということになる。
「何かをやりたいから権力者になることを目指した」のではなく、「権力者になりたいだけだった」という真相が浮かび上がる。権力を持ったときにやりたいことに権力を行使しないなら、権力を持つ意味などない。そもそも、岸田氏は核兵器を禁止することに関心を持ち合わせていないのではないか。
広島サミットにウクライナのゼレンスキーが来た。いま何よりも求められることは戦乱の収束。停戦を一刻も早く実現することが最重要だ。ゼレンスキーは戦争持続、戦争拡大を叫ぶが、その戦争によって誰が犠牲になっているのか。
犠牲になっているのはウクライナの市民と戦争の最前線に送り込まれる兵士である。ゼレンスキーは国家総動員法を制定した。ウクライナに自由はない。言論も統制されている。政党は禁止され、政治活動の自由もない。
成年男子は国外に避難することも許されず、国家総動員法によって国家の犠牲になることを強要されている。およそ正義とはかけ離れている。正義とかけ離れた米国、ウクライナ、そして日本の現実を私たちは見抜かなければならない。
※続きは6月4日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「権力が手段でなく目的の岸田首相」で。
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