2024年11月18日( 月 )

野党候補一本化へ 小沢一郎衆院議員らが有志の会設立

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 6月16日、立憲民主党の小沢一郎衆院議員や小川淳也前政調会長らは、野党間の候補者調整を執行部に求める「野党候補の一本化で政権交代を実現する有志の会」を設立した。

 記者会見で小沢氏は「候補者の一本化、野党間での話し合い、調整が必要なのだということを表に、声に出すことに有志の会の基本的な意味がある」と設立目的を説明。賛同者には立民所属衆議院議員の半数以上の53名が名を連ねたのだ。

 次期総選挙で共産党との選挙協力を否定する泉健太代表への異議申立といえるが、これに対して泉代表は「他党がなかなか候補者調整に応じない状況のなかで、どういった手法があるのか、ぜひ率直に意見を聞きたい」と小沢氏らとの面談に応じる姿勢を示す一方、「言うは易し」とハードルが高いことも示唆した。

 もちろん野党連携を否定している維新や国民民主までをも含めた野党候補一本化は実現困難だが、共産党との連携(選挙協力)が復活するだけでも効果は抜群だ。4月の衆参補選で全敗した立民だが、野党候補乱立の千葉5区では立民候補の票に共産党候補の票を足せば、当選した自民党候補を上回っていた。

 連携に前向きだった共産党と一本化交渉をしなかったことを泉代表に会見で問い質したのはこのためだ(5月19日付記事「党首の資質に欠く立憲・泉代表、そのままなら“崩壊”へ」を参照)。

 立民と共産の連携が有効であることは、山口2区補選での平岡秀夫・元法務大臣(元民主党衆院議員)の大善戦でも示されたが(上記記事で紹介)、6月4日の投開票で「次期総選挙の前哨戦」と報じられた「太田区都議補選(改選数2)」でも可視化された。

 立民と共産などが支援した無所属の森愛候補(元都民ファースト都議)が、自民公認の鈴木章浩候補(2位で当選)を抑えトップ当選、統一地方選の勢いが続くか否かが注目された維新の細田純代候補は3位で落選、小池百合子都知事が応援に駆け付けて国民民主党が支援した都民ファの奥本有里候補も4位に沈んだ。

 「有力4候補の誰が当選しても不思議ではない」「次期総選挙で各党の勢いを占う国政選挙並の大型地方選挙」と注目された大田区都議補選では、意外なことに補選全敗で意気消沈していた立民が勝利する一方、統一地方選で地方議員1.5倍以上の目標を達成した維新が失速したのだ。

 1つの椅子を争う奈良県知事選や和歌山1区補選では自民に競り勝ち、その勢いを買って大田区都議補選に臨んだのに、馬場伸幸代表らの応援も空しく2位に滑り込むことさえできなかったのだ。

 統一地方選後、全小選挙区に候補者を立てると宣言、次期衆院選での野党第一党を奪取すると意気込んだ途端、その前哨戦で敗北して出鼻を挫かれることになったのだ。

 維新が失速したのとは対照的に補選全敗で意気消沈していた立民が反転攻勢の手がかりをつかめたのはなぜか。立民と共産支援の森愛候補が神宮外苑再開発などに反対していたのに対して、自民・維新・都民ファの候補は賛成で「環境派候補 対 土建政治推進の三候補」という分かりやすい構図になっていたことがある。

 自民党と第二自民党のような維新と都民ファの3候補との違いがハッキリと示されたことが、森候補のトップ当選につながったようにみえるのだ。

 惜敗率9割まで迫った山口2区補選でも、元民主党衆院議員・平岡氏は脱原発と軍拡反対を柱とする政策協定を共産党と結んで野党統一候補となり、立民・共産・れいわなどの野党と市民の支援を受けて大善戦をした。

 保守王国山口であっても、自民党とは違う政策の旗を掲げて市民と野党が結集すれば、与党とほぼ互角に渡り合えることを実践してみせたのだ。

 立民と共産が無所属候補を支援した大田区都議補選でも、山口2区補選と似たような選挙態勢となっていた。市民連合おおたの会が森候補と政策協定を結び、同じ政策協定を立民や共産などとも締結する“ブリッジ共闘”によって、自民と維新と都民ファに競り勝っていたのだ。

 このブリッジ共闘は、20年の総選挙や16年と19年の参院選1人区などでも効果を発揮、野党系候補の勝利に貢献してきたが、枝野前代表から泉代表に交代してから後退。新執行部で臨んだ22年の参院選での惨敗(1人区の勝率は大幅に低下)、そして4月の衆参補選でも全敗を招いたのだ。

 一連の経過と各種選挙での結果を振り返れば、枝野前代表時代の4野党連携(立民・共産・社民・れいわが市民連合を介して選挙協力)を復活させることが党勢拡大、ひいては政権交代の可能性を高めることは明らかなのだ。この軌道修正(方針変更)を執行部に迫ったのが、今回の「有志の会」設立といえるのだ。

 「選挙の神様」とも呼ばれた小沢氏と泉代表との面談が注目される。

 *注「有志の会」呼びかけ人となった衆院議員は以下の12人。阿部知子、稲富修二、小川淳也、小沢一郎、鎌田さゆり、菊田真紀子、手塚仁雄、原口一博、松木謙公、谷田川元、柚木道義、湯原俊二。

【ジャーナリスト/横田 一】

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