2024年12月23日( 月 )

李強中国総理、経済の現状に最新の見方示す(後)

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貿易 イメージ    これら専門家は、現在の経済動向における疲弊や問題を鋭く観察し、卓越した知見を訴えている。それでは、中国経済を救う術は一体何だろうか。 今回の国務院常務会議では、以下3つの策が打ち出された。

 1、市場化、法治化、国際化したビジネス環境の形成を優先課題とし、見通しを一段と安定させ、成長への信念をもたせ、市場に活力をもたらして回復傾向を維持していく。

 2、問題の方向性を維持し、企業の目立った問題を見定めて、実際のニーズに応じたかたちでの市場参入の緩和、公平な競争の促進、知的財産権の保護、大きな統合市場の形成といった面で、的を絞り中身の濃い政策を段階的に打ち出し、さらにビジネス環境という重点分野の改革を進めることで、その政策の効果を一段と上げていく。

 3、サービス意識を強化し、政策を着実に実行し、その際のネックを解消して各地に行き渡らせ、企業に一段と実りのある感触を与えていく。

 企業にサービスを施すために良好なビジネス環境を築くこと、これは李強氏が浙江省、江蘇省、上海市と渡り歩いたなかでの一貫したアイデアや行動である。

 ただし、これらの策の実行が難しい地域もある。親身になって企業の問題を解決する地方政府や、このように企業にサービス意識を持つ公務員は、どれだけ存在するのだろうか。

 李強総理は今年3月の就任以来、7回に渡り常務会議を開いた、月2~3回のペースを維持し、毎回経済活動の主要点を検討して、問題ことに政策を出し重点を進めてきた。

 今回の会議では、自動車産業における構造改革の軸であり、大きな飛躍が望める新エネ車産業について、質の高い発展を目指す策が検討された。3月24日の会議では、企業の成長にともなう問題について、見通しの安定と信念の強化に向けて当面の税優遇策を部分的に延長および改善していくことが決定された。

 4月17日の会議では、雇用について、全般的な安定化に向けて的を絞った当面の改善策を実行し、かつウィークポイントヘの支援に力を入れることが決定された。

 5月5日の会議では、実体経済の成長に向けて、先端製造業の成長促進に関する意見が採択された。

 5月19日の会議では、昨年4月に国務院が発表した「全国統一市場の早期形成に関する意見」の実行に向けて、全体的な活動案や取り組みが検討された。

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 以上の会議の議題から、李強総理が中国経済における問題の所在をよく認識し、それらの解決に向けて努力している姿がうかがえる。ただ残念なことに、中国政府はいまだ「カンフル剤」となる極めて有力な措置を打ち出していない。会議だけで具体策がない。支援措苣が発表されても、地方政府はどこも歳入が大幅に減っており、財政赤字も地方債務も膨れ上がり、いざ実行に移そうとしてもお手上げ状態である。これがつまり、中国経済の再建における一番の問題なのだ。

 世界銀行は2023年の中国のGDP成長率を5.5%と予測しているが、国民はそのような実感を覚えないだろうし、仕事も収入も失うのではないかという不安でいっぱいである。

(了)


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