2024年11月28日( 木 )

岸田さん米国に明言できますか

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は、欧米がインフレ抑止に力を注ぐなか、日本も同様にインフレ誘導から抑止に切り替えるべきと論じる6月29日付の記事を紹介する。

 世界でインフレが進行している。これに対して世界の金融政策がインフレ抑止に力を注いでいる。

 米国は2022年に金融引締め政策に着手。ゼロ金利水準にあったFFレートを5%超の水準にまで引き上げた。

 歴史的に見ても異例のスピードで短期金利引き上げを実行してきた。米国インフレ率は消費者物価指数で昨年6月に前年同月比9.1%上昇を記録した。二桁インフレに迫る情勢だった。

 FRBの強力な金融引締め政策によりインフレ率はその後に低下。2023年5月の消費者物価上昇率は前年同月比4.0%にまで低下した。パウエル議長が率いるFRB。FRBの迅速かつ大胆な政策運営により事態悪化が回避されている。

 長期的なインフレ予想を反映して変動する長期金利は、すでに昨年10月に低下に転じた。インフレ心理悪化を適正な政策運営で遮断することに成功している。

 欧州でもインフレ抑止のための金融引締め政策が実施されている。金利引き上げは経済活動に下方圧力を与える施策だがインフレを加速させてしまえば、その弊害が大きくなる。

 インフレが燃えさかってしまうと、その収束のための金融引締めはより強力なものにならざるを得ない。このためインフレに対しては「早期発見、早期対処」が求められる。

 このなかで日本銀行だけが「大規模金融緩和政策の維持」を続けている。日銀は2%インフレを目指しているとする。

 「消費者物価上昇率2%の目標が持続的かつ安定的な達成される見通しが得られるまで金融緩和を維持する」としているが、何をもって「持続的かつ安定的に達成される」とするのかが不明確。

 日本のインフレ率現状は深刻だ。消費者物価上昇率は本年1月に前年同月比4.3%上昇を記録。2023年5月の上昇率は前年比3.2%。

 中央銀行は内外ともに「コア」のインフレ率を重視する。「コア」のインフレ率とは特殊な要因で大きく変動する食料品とエネルギー価格を除くインフレ率。

 日本の消費者物価指数に「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」という区分がある。この指数上昇率を見ると本年5月が前年同月比4.3%。日銀が目標とする2%をはるかに超えている。

 日本銀行がインフレ促進のスタンスを示せば事業者は価格の上方改定を加速させるだろう。インフレが勢いづくことが考えられる。

※続きは6月29日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「岸田さん米国に明言できますか」で。


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