【山口FG特別取材】吉村元会長の亡霊にとらわれ続ける山口FGの現状(中)
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名ばかりの女性活躍推進
山口FGでは社外取締役がディスクロージャー誌で「取締役会は女性3名で多様性や客観性という点で非常に良い構成」と自画自賛しているが、実際に女性登用がどこまで進んでいるのか気になるところだ。実は、取締役の女性3名はすべて社外取締役である。この3名以外は、執行役員を含めて社内からの女性登用はない。社外からの登用で辻褄を合わせるとは、実に「多様性や客観性」を反映したすばらしい構成ではないか。
傘下の3銀行の役員はどうなっているかも見ておこう。山口銀行では社外取締役1名、執行役員1名が女性であり、執行役員は社内からの登用である。もみじ銀行では1名の執行役員が社内からの登用である。北九州銀行は女性の役員は皆無となっている。具体的には山口銀行の大本理恵氏ともみじ銀行の小川裕子氏が女性役員なのだが、両名はもともと、山口FGの執行役員であった。この2名が同時に異動となり、結果として山口FG本体での社内登用の女性役員は不在となってしまっている。建前と本音のズレは、このようなところにも表れるものである。
さて、役員メンバーはこのような有り様なのだが、銀行の営業現場の方はどうだろうか。なんと驚くべきことに、現場ではかなりの女性登用が進んでいるということだ。大量に女性を昇格させた結果、ポストが不足し、エリアマネージャーというポストを割り当てているという。複数の支店にまたがって個人顧客の資産運用取引を統括するポストであるとのことだが、立ち位置が中途半端で責任が不明確だと、行員からの指摘の声があった。
このポストには昇格させた女性管理職が就くことが多いようだが、マネジメント経験がないどころか、この業務の未経験者を充てるなど、現場は大混乱しているようだ。昇格した女性のなかには、係長から課長代理級に昇格してわずか数カ月後に課長級に昇格するケースもあり、昇格待機状態の男性のみならず、女性からも不公平な運用に対する疑問の声が聞こえてくる。昇格した側からも、管理職への昇格を希望していないにも関わらず強引に昇格させられたとして、少なからず不満の声が挙がっているようだ。適性や本人の希望を考慮せず、会社都合で人数ありきの人事を行えば、必然的にそうなるだろう。組織を疲弊させ、従業員の人権を無視し、いったい何を目的としているのか理解しがたい。そこまでして世間にアピールすることに何の意味があるのだろう。
今も続く吉村派への陰湿な嫌がらせ
現在の保険ひろば(山口FGの子会社、保険代理店を運営)の社長は、今年着任した吉中大輔氏である。吉中氏は失脚した吉村氏に抜擢され、若くして山口FG常務執行役員に昇り詰めた人物である。しかし、吉村氏失脚後は常務からヒラ執行役員に降格、さらには執行役員まで解任されるという、何とも波乱万丈な経緯を経ての、子会社社長への就任である。
では、社長に抜擢され復権したかといえば、そうでもない様子である。聞こえてくる話によれば、吉中氏は会社経営には関わることができず、一介のセミナー講師として各地を飛び回っているというのだ。さすがに社長にもなってそんなことはあるまいと調べてみたところ、たしかに保険ひろばのホームページでは、9月16日(土)に福岡県大川市で、9月17日(日)には佐賀市で行われる「お金の使い方増やし方講座」なるセミナーの講師として、吉中大輔氏が紹介されている。
同様の講座はほかにもあるのだが、他の講師は役員というわけでもなく、社長自らが行うべきセミナーではなさそうだ。嫌がらせでこのようなことが行われているのだと推察されるが、何とも幼稚な話である。優秀な人物であるならば、過去の経緯を問わずに活躍の場を与えればよいではないか。このような屈辱を受け入れ、会社にしがみつく方も情けない。さっさと次の新天地を見つけ、自らの活躍の場を開拓すればよいではないか。この吉中氏も、ほかで活躍する自信もなく、山口FGに執着するしかないのだろう。経営に携わる幹部がこのような状況とは、実に深刻な人材難である。このような幹部の情けない姿を見せられて、将来に夢を抱く若手など出てくるわけもあるまい。
(つづく)
【特別取材班】
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