【山口FG特別取材】吉村元会長の亡霊にとらわれ続ける山口FGの現状(後)
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銀行員というエリート意識が招く新規事業の失敗
バンカーズファームという、山口FGが設立した農業の会社がある。社名からもわかる通り、「銀行員が農業をやる」ということを売りにしているのだが、設立当初から農業に対する軽視を感じたこともあり、事業として成立するのか疑問に思っていた。案の定、うまくいっていないようだが、事業を清算するという決断もできないようである。銀行員が農業をやることの意外性をコンセプトにすることそれ自体、エリート意識、特権階級意識の表れである。そのような事業は失敗するべくして失敗するものだ。
福岡県糸島市に、山口銀行OBが営んでいるイチゴ農家がある。かなりの好評を博しており、リピーターも多いとのことである。この違いはどこにあるのか。やはり、地道に自身の足で情報を集め、退路を断って農家をやるという決断に至るまでの覚悟がものをいうのではないだろうか。銀行に籍をおいたまま、腰掛で農家の真似事をするということでは覚悟は定まらないだろう。幾年もの経験を重ね、自然を相手に勘所を培っていくことが必要な職業である。そのような職人技は、銀行員の数年での異動の間に身につくようなものではない。
これは全国で相次いでいる銀行の異業種参入の教訓でもある。銀行がモノづくりを理解しているわけもなく、IT企業のような革新的な技術を持ち合わせているわけでもない。AIだのロボットだのと言ってみたところで、地方銀行に知見があるはずがない。根拠のない過剰な自信は失敗を招くだけであり、山口FGは見事にそのことを証明してくれた。
吉村元会長時代の呪縛
本サイトでもこれまで何度か取り上げたが、ワイエムライフプランニング(以下、YMLP)という会社がある。今年、歴代の社長が相次ぎ昇格したとの情報が提供された。
この会社は、将来のリテール部門の中核を担う会社として、吉村元会長の主導で設立されたものである。吉村氏はいくつもの新規事業を行うための会社を設立したが、この会社への期待の大きさは、ほかの会社とは比べ物にならなかったという。
初代社長は奥田健一郎氏であり、2019年の設立と同時に社長に就任した。企画部門の経験が長く、吉村氏の高校の後輩(下関西高校)ということもあって、吉村氏の寵愛を受けていたようである。しかし、早急に成果を求める吉村氏の期待には十分応えられず、社長交代となったようだ。新規事業ですぐに成果を出すことは容易ではなく、この点は奥田氏に同情すべきだと思われる。その奥田氏が、今年4月、山口FGの執行役員経営統括本部長に着任した。これは、YMLP社長時代、YMLPの監査役であった福田進氏(常勤の山口FG取締役監査等委員)と親密になったことが縁ではないかと言われている。福田氏は、吉村元会長の解任を画策し、現在の山口FGを実質的に支配する人物である。
二代目社長は加藤卓氏である。加藤社長時代に多くの問題が発生していたことは、本サイトでも既報の通りである。パワハラの揉み消しなどについて、犯罪行為ではないかと疑義を呈してきたが、調査さえ行われなかったようである。加藤氏は今年6月に北九州銀行の折尾支店長から同行八幡支店長へと転任となった。横滑りではなく、支店の規模からして栄転とのことだ。加藤氏は吉村氏の抜擢で子会社社長になったのだが、吉村氏解任後は吉村氏の悪口を吹聴しているとのことである。なんと器の小さな人間であろうか。
三代目社長は大本理恵氏であり、現在は山口銀行で執行役員萩支店長を務めている。大本氏も吉村氏に抜擢されたのだが、成果を出せず吉村氏に厳しく叱責されていたこともあり、福田氏が同情したのではないかという話もあった。あるいは、同情したふりの福田氏に懐柔され、クーデターに加担したのではないかとの推測もあるようだ。
そして、現在の四代目社長・松本智寛氏に至るのだが、不思議なことに、前任3名の歴代社長は明確な成果もなしに出世しており、とくに今年度になってからは顕著である。共通点といえば、結果を出すことができず、吉村氏に厳しく叱責されたという点くらいのようだ。これも吉村氏に対する意趣返しであろうか。いつまでも吉村氏の亡霊にとらわれず、未来志向で物事を考えた方がよいのではないかと思うのだが・・・。
(了)
【特別取材班】
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