洋上風力発電めぐる収賄疑いで秋本議員を逮捕、東京地検特捜部
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洋上風力発電事業をめぐり、自民党を離党した秋本真利衆議院議員(比例南関東)が、日本風力開発(株)(東京都千代田区)側から多額の資金を受けたとする事件で、7日、東京地検は秋本議員を逮捕した。秋本氏は、8月4日、収賄容疑で東京地検特捜部(以下、特捜部)より、議員会館の事務所など家宅捜索を受け、同日付で外務政務官を辞任。翌5日、自民党を離党している。
秋本氏は、国会で数回にわたり洋上風力発電に関する質問を行っているが、特捜部は、同社側が、事業参入に有利になるように国会で質問を依頼し、秋本氏は、その見返りとして賄賂を受け取ったとみて、受託収賄での逮捕に踏み切った。
洋上風力発電は、国が脱炭素社会の実現を進めるなかで、重要政策となっているが、秋本氏は2017年8月から18年10月まで1年ほど国土交通政務官を務め、再エネ海域利用法の制定を推進した。原発推進派が少なくない自民党内にあって数少ない脱原発派として知られ、著書『自民党発!「原発のない国へ」宣言』には、同じく脱原発派の河野太郎デジタル担当大臣が推薦文を寄せていた。
秋本氏側に資金を提供していたのは、日本風力開発の前社長・塚脇正幸氏とされ、特捜部は、秋本氏だけでなく塚脇氏の刑事責任も追及するとみられる。
国会質問の内容
19年2月、同社側が青森県・陸奥湾に洋上風力発電所建設の参入を目指しており、周辺にある防衛省関連施設があることを理由に規制をかけないよう国会で質問を行うことを秋本氏に依頼したという。
これを受けて秋本氏は、同27日の衆議院予算委員会第7分科会において「もちろん国防は大事」としたうえで、「その支障のない範囲のなかであれば、一律全部ここはだめよということではなくて(中略)その範囲のなかでも、洋上風力というものが青森県でもしっかりと私は展開されるべきであろうというふうに思う」と発言していた。
また、22年2月には、同じく衆議院予算委員会第7分科会において「2回目の公募から評価の仕方を見直していただきたい」と質問している。さらに「やはり、第二ラウンド以降、早く運開(運転開始)しようというところにインセンティブをもう少しきちっと与えないと、政府が掲げている再生可能エネルギーの比率だったりカーボンニュートラルの数字を達成できない可能性が私は高いんじゃないかというふうに思っています」と迫っていた。
これに対して萩生田光一・経済産業大臣(当時)は次のように答えている。「今後の見直しの方向性については、まずは、今回の公募結果について総括したうえで、引き続き多くのプレーヤーに参加していただくためにも、選定の基準や開示情報の在り方も含め、外部有識者の知見もいただきながら検討してまいりたい」。
その後、経済産業省は、22年3月に第2ラウンドの入札プロセスを見直すことを発表し、設定されていた公募締切日を延期するなど質問に沿うような動きをしていた。
秋本氏が収賄の疑いを持たれているのは、19年7月、日本中央競馬会(JRA)の馬主登録の名目で塚脇氏から約3,000万円の借り入れと、一昨年から今年6月までに2人が設立した馬主組合の資金としての約3,000万円の資金提供である。
自民党関係者のなかには、秋本氏が河野太郎氏に近いことから、河野つぶしの側面を指摘する声もあるが、今回の逮捕は、洋上風力発電自体の信頼性にも大きな影を落とす結果となった。疑惑発覚後に自民党を離党したとはいえ、12年の初当選時から同党所属で、国土交通および外務政務官を歴任した現職国会議員の逮捕は、国民の間にさらなる政治不信をもたらすことになりかねない。
【近藤 将勝】
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