【連載】党勢拡大に貢献もせず3選を目指す野田国義参議院議員(4)
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かつて全国最年少市長として世間の注目を集めた元八女市長・野田国義氏。小沢一郎氏の誘いを受け、2009年衆議院議員選挙で、秘書として仕えた古賀誠元自民党幹事長への刺客として立候補、比例区で復活当選した。13年に参議院議員(福岡選挙区選出)に転じ、現在に至る。衆参あわせ13年になるが、所属する政党の党勢拡大に貢献できていないどの声が聞かれる。本連載では、かつて北九州・福岡両市の首長ポストを押さえ、全国でも勢いがあった民主党(当時)が衰退した経緯およびそれに拍車をかけた野田氏の政治姿勢を問いたい。
(なお、本記事は政治メルマガの会員向けに以前に発信しているものと同じ内容のものですが、広く読者の方に読んでもらいたいとの想いから掲載しております)市長時代の発言に元議長が反論
「八女市はこれまで、なあなあできました。しかし、市議会も、4月の選挙で若い人が議員になりました。1つの視点だけでなく、広く物事をみていただけるよう、意見交換する機会をつくりたいと思います」。
このように語るのは、前福岡県議会議長で、八女市・八女郡選出の桐明和久福岡県議会議員(自民党県議団)。福岡市内で開かれた松尾統章県議団会長就任の祝賀会において、記者が「八女市議会は、相変わらずまとまらず、執行部のいいなりの面があるようですが」と問いかけたことに対するものである。さらに桐明氏が続けて「議員がばらばらでは、執行部にものが言いにくいと思います。議論をしながら進めていけるよう市議会とも連携していきます」と述べたことも付言しておく。
八女市議会の状況は今に始まったことではないが、4期15年8カ月、八女市長に在職した野田氏の時代は、現在とは逆に執行部と市議会との折り合いが非常に悪かった。野田氏はそのことを、1月22日に福岡市立中央区民センターで開催された稲富修二衆議院議員の「新春のつどい」のディスカッションにおいて、披露していた。
「年長の議員が多く、人事案件1つ通すにも大変苦労した」。
会場にいたのはほとんどが福岡市民。野田氏の八女市長時代のことを知る人はほとんどいない。いかにも旧態依然とした八女市を改革し、議会と戦ってきたとでもいう武勇伝のように語っていた。では、当時の議会関係者は、実際の状況をどのように見ていたのだろうか。
元八女市議会議長・松延外喜氏は、次のように語る。
「執行部と議会は二元代表であり、執行部の暴走をチェックするのは、議会の務めです。野田氏と個人的な遺恨とかそんなことはありません。ただ、野田氏側から議会に対する根回しがないまま次々と決めていくことに、議会として承認できないことはありました」
市議会を「抵抗勢力」のように呼ぶのは、小泉純一郎元首相が首相在任中、盛んに言い立てた「郵政民営化是か非か」の二元論的な考え方である。しかし、現実の政治(社会全般も)は、敵か味方かの単純な構図で判断できるものではない。
女性閣僚へのヤジが問題に
こうした野田氏の思考は、現在も続いており、師であるはずの古賀誠氏を否定することにつながっている。
14年に野田氏が発した山谷えり子国家公安委員長(当時)に対するセクハラとも取れるやじが大問題となったことがある。
「宿泊先まで知っているっていうのは、懇ろの関係じゃねえか」
野田氏がこのようなやじを飛ばしたのは、14年10月7日の参議院予算委員会でのことだ。ヘイトスピーチが問題となっていた「在日特権を許さない市民の会」の元幹部らと写真撮影をしていた山谷氏を、民主党(当時)の小川敏夫元法務大臣が追及していた時である。
これを聞いた安倍晋三首相(当時)は、間髪入れず「失礼じゃないか」と抗議し、麻生太郎副総理兼財務大臣(当時)も「いまの言葉、問題じゃねえのか。何考えてんだ」と激しく非難した。野田議員は翌日、やじは自身が発言したと名乗り出た。
しかし野田氏は、「懇ろ」という表現は「親しい」「懇意にしている」という意味で使ったものだと釈明し、さらに「九州では、よく使うんよ」と弁解した。批判の高まりを受けて、野田氏は山谷氏に直接謝罪したが、九州在住者は皆同じであるかのように受け取られかねない発言として、SNSなどにおいて非難轟々であった。こうした野田氏の発言が、民主党に対する信頼を低下させたのは間違いない。
時代も大きく変化しており、あらゆる業界で世代交代が進んでいる。政治の世界も新陳代謝が求められている。野田氏もいつまでも議員の地位にしがみつかず、自ら後進に道を譲る時期であると申し上げたい。
(つづく)
【近藤 将勝】
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