公明党の心中穏やかでない元労組議員の首相補佐官起用
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15日の内閣改造に伴い、国民民主党(以下、国民)で参議院議員を務めた矢田稚子氏が首相補佐官に起用された。担当分野は賃金や雇用政策。
矢田氏は1984年に松下電器産業(株)(現:パナソニック)に入社。2016年の参院選比例区に、連合傘下の労組「電機連合」の組織内候補として当時の民進党から出馬し、初当選。22年の参議院選挙で国民民主党から出馬したが落選していた。
自民党・公明党と国民による3党連立は、芳野友子連合会長などの反対もあり、実現していないが(「連合会長、国民代表に自民党との連立反対を伝達」)が、矢田氏の首相補佐官起用について、連合の各産業別組合の関係者や野党などから、自民党による揺さぶりとの見方から反発や動揺の声が挙がっている。
立憲・国民両党に所属する福岡県内の複数の地方議員は「自民党は、強かに進めています。福岡では連合が間に入って次の衆議院選挙の候補者調整を行い、ようやく7選挙区は決まりましたが、必ずしもしっくりいっているわけではない。立憲を応援する官公労組と国民を応援する民間(労組)の隔たりは小さくない」と語る。
自民党の茂木敏充幹事長は19日、矢田氏の首相補佐官起用に関して「様々な政策を前に進めてもらうことを期待したい」と評価する発言を行った。
連合の有力産別出身者が政府内に入ったことは、自民党、とくに麻生太郎副総裁や茂木幹事長にとって、野党を分断できることに加え、民間労働組合を引き寄せられるというメリットがある。また、公明党を牽制する切り札にもなる。
事実、公明党の山口那津男代表は16日に「総理が任命した意図に従ってどういかしていくか。総理のやり方を見ていきたい」と語っているが、心中は穏やかではないだろう。
政策的に水と油である自公が20年の間、連立を維持してこられたのは、選挙協力のメリットがあるからで、多くの自民党議員は「比例は公明に」と呼び掛けてきた。しかし、自公連立の成立も、水面下で粘り強い折衝が行われてできた枠組みであり、年月とともにその経緯を知る政治家が両党ともに引退していき、隙間風が吹くようになった。
また、自民党内で公明党と近いのは二階俊博元幹事長や菅義偉前首相などのグループであり、その力を削ぐためにも、民間労組をバックボーンとする矢田氏の起用は大きなメリットがある。女性であり、日本は先進国の中で女性の政治参加度が低いと批判してきたメディアや野党としても批判しにくいだろう。
いずれにせよ、国民のためになる仕事をできるかが重要であり、矢田氏の今後に注目したい。
【近藤 将勝】
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