旧統一教会の解散命令請求に地元福岡でも賛成の声
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文部科学省は13日、世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)に対する解散命令を東京地方裁判所に請求した。所管する文化庁職員が請求理由を記した申立書と、20箱の段ボールに入れた証拠書類約5,000点を提出した。
日弁連や2世団体が声明
盛山正仁文部科学大臣は13日の会見において、「昨年の(安倍晋三元首相の銃撃)事件が起きるまで、教団に深刻な課題があり、多数の被害者がいることを残念ながら十分に認識していなかった」と釈明し、「あまりに遅いとか、(被害を)十分に把握してこなかったのかという指摘には、返す言葉がないというのが正直なところ」と述べた。
文化庁が東京地裁に提出した解散命令請求の申立書は、1980年頃より教団による高額献金や霊感商法の被害が繰り返され、教団の損害賠償責任を認める民事訴訟の判決が32件で169人、損害賠償額が約22億円に上ることを明記している。このなかには福岡地裁における判決も含まれている。
また解散命令請求を受けて、日弁連(日本弁護士連合会)や統一教会2世による団体などが声明を出した。
小林元治日弁連会長は「文化庁が質問権の行使を含む調査を行ったうえで、解散命令請求という大きな決断に至ったことについて、当連合会としても重く受け止め、今後を注視していく」としたうえで「実効的な被害救済を実現するためには、解散命令請求に合わせて当該宗教団体の財産保全などを現実的に可能とする仕組みが必要である。宗教法人法上にこのような規定がないことが課題として指摘されており、法改正または特別法等の立法措置を検討することが望まれる」と教団が保有する財産保全に関する法制度の必要性を主張した。また、「宗教団体には宗教的活動を行う権利が認められているとはいえ、個人の権利と自由を侵害することは許されない。国は、毅然とした態度で臨むべきである」と述べた。
旧統一教会などの信仰を有する親をもついわゆる「宗教2世」が結成した「宗教2世問題ネットワーク」は、12日に次のような声明を発表した。
「忘れないでいただきたいのは、宗教2世問題は解決した過去の問題では全くなく、旧統一教会が解散されて解決するような問題でもなく、また旧統一教会に限定された問題でもないことです。数え切れないほどの子ども達の権利が蹂躙され、人生そのものを宗教団体に搾取され、時に命すら奪われ続けてきた、現在進行形の重大な人権侵害です」
今回の解散命令請求には、福岡県内においても歓迎・賛同の声が挙がった。短大生時代に旧統一教会の関連団体である「原理研究会(CARP)」と接点をもった50代の女性は「合宿に参加すると、先輩から恋人の写真を没収された。あとで統一教会と知ったが、組織から離れたため入信せずに済んだ」と体験を語った。また「信仰の自由は守られる必要はあるが、宗教団体のあるべき姿と統一教会の実情を鑑みたら、解散請求は致し方がないと思う」と今回の解散請求は必要と述べた。
政治と教団の関係
旧統一教会による霊感商法や億単位の高額な献金は、80年代から社会問題となった。2007年から10年にかけて、福岡県を含む全国で警察による摘発が行われたが、反共産主義を掲げる教団から選挙支援を受ける政治家が自民党を中心に数多くいたため、教団本部まで摘発が行うことができなかった。
第2次安倍政権発足後は、13年7月の参議院議員選挙において教団およびその関連団体による支援を受け当選した北村経夫氏をはじめとして、多くの国会議員・地方議員が支援を受けてきた。
文化庁は今回、7回の質問権行使だけでなく、全国の多くの被害者などから聞き取りを行った。今後、裁判所が非公開で審理を行い、今回の請求を妥当なものと認めれば、解散命令を行うことになる。
教団側は地裁の判断に不服がある場合、高裁に即時抗告ができる。高裁の決定に憲法違反などがあると主張すれば、最高裁に特別抗告を申し立てることも可能となっている。今後、解散命令が確定した場合、旧統一教会は任意団体としての活動は継続できるが、宗教法人格を失い、税制上の優遇措置は受けられなくなる。
また、清算手続きが行われ、財産を処分して債権者に配当する手続きが行われるが、被害者は残った財産のなかから賠償を受けることができるという。
教団側は今後、訴訟を行うとみられ、保有する財産を本部がある韓国へ移せば、解散命令が確定し、清算手続きが行われた場合でも、被害者への賠償が行われない可能性がある。立憲民主党や日本維新の会が、財産保全の立法措置の必要性を主張している一方、公明党が否定的であるなど、今後も紆余曲折が予想されるが、被害者救済のスタートラインに立ったことは間違いない。
【近藤 将勝】
企業調査会社(株)データ・マックスが手がける経営情報誌『I・B』やニュースサイト「NetIB-News」は、信頼性の高い情報ソースとして多くの経営者にご活用いただいています。メディアとしてさまざまな情報を取り扱っており、国内外や地元福岡の政治動向に関する情報は経営者以外にも自治体組長や国会議員、地方議員などに幅広く読まれています。
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