2024年12月22日( 日 )

ムーディーズ、中国の格付け見通しを引き下げ

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中国 上海 イメージ    2023年12月5日、格付け会社「ムーディーズ」は、中国政府に対する格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。地方政府の債務の急増や不動産市場の悪化による中国経済への影響に対し、国際社会における心配感が高まっていることの表れである。ムーディーズはこれについて、中国政府が債務問題を抱える地方政府や国有企業への資金支援を迫られることが予想され、中国の財政、経済、構造的強さに広範なリスクを与えているためと説明している。

 AP通信によると、2022年は中国政府から地域や地方政府への移転支出が2021年より1兆6,000億元(約32兆906億円)増えて、地方政府の土地購入で発生した2兆元(約41兆132億円)分の歳入減が補われたという。

 この情報で中国経済の見通しに対する心配感が強まり、ブルーチップならびに香港株がいずれも値下がりした。ロイターによると、中国の大手国有銀行は連日に渡り、通貨の大幅な値下がりを避けるためにドル売りに力を入れているという。

 ロイターはまた、みずほ銀行アジア為替プランナー代表である張建泰氏の話として、市場では債務リスクよりも不動産危機や経済成長の鈍化に対する心配感のほうが強いと指摘した。ムーディーズが中国の格付けを引き下げたのは2017年以来のことであり、経済成長の鈍化や債務の増加予測を理由としている。

 中国通貨や外貨発行者の格付けを長らくAIに据え、中国経済がかなりのリスク対応力を備えていると見てきたムーディーズは、中国の経済成長率について、向こう2年間は4%に減速し、2026~2030年の平均は3.8%、2030年は3.5%まで下がると予測した。これについてムーディーズは、経済のバランス取り直しの支援などといった政策の有効性に関するリスク増大の表れだと警告している。

 中国財務省はこれに対し失望感を示しながらも、中国経済は依然上向き状態であり、不動産業界も地方政府の債務も統制範囲内にあると強調した。財務省の関係者は、経済の見通しや財政面の持続性に対する心配は無用と見なし、「今年もマクロ経済は回復傾向を維持し、質の高い安定成長をしている」と強調した。

 ムーディーズは、巨額の債務を抱える地方政府や国有企業を支えるための中国政府による費用負担や不動産市場の後退が経済成長の足を引っ張っていると指摘した。しかしながら中国財務省は、「中国経済は強さがあり、地方政府も不動産の後退にともなう歳入減に対応しうる力がある」と表明している。


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