2024年11月23日( 土 )

韓国経済ウォッチ~SK,高性能ポリエチレン市場に挑戦(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

koujo_sora 前回述べたように、その間、高性能ポリエチレンの市場は、グローバル企業の寡占状態が続いていたが、SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長は開発から、設計、施工、稼動までの全過程を独自でできるようにすることをSK総合化学に命じた。今回の開発成功でSK総合化学は、高性能ポリエチレン市場に新規参入を果たすことになる。しかし、興味深いのは、 今回の挑戦にSKは単独で挑むのではなく、世界的な石油化学企業であるSABICと提携して挑もうとしている点である。

 それでは、SABICとはどのような会社で、今後この挑戦はどのような結果を生むだろうか。SABICはサウジアラビアの最大の石油化学企業で、昨年総資産は3,400億リヤル(907億ドル)で、売上げは1,881億リヤル(502億ドル)に達していた。ポリエチレン、メタノール、尖端熱可塑性樹脂などの化学材料分野では、グローバル市場をリードしている企業でもある。 SKグループは単独ではなく、SABICという心強い味方をつけて 、今回の蔚山工場の竣工に続いて、グローバル生産基地の拡大計画を打ち出している。SKは市場の需要が大きく伸びている高性能ポリエチレン分野で、グローバル的な化学企業を追いかけることができる技術・生産・販売基盤を確保することになったと言える。

 ネクスレンが誕生して、ある程度成功を確信するようになった崔泰源(チェ・テウォン)SKグループ会長(54)は、2011年3月、サウジアラビア国営石油化学会社のSABICを訪問することになる。チェ会長はまずアルマディ副会長に会い、提携話を切り出した。その時には蔚山(ウルサン)ネクスレン工場もめどが立っていたので、積極的に合弁投資に応じてくれることをSABICの副会長に提案したようだった。それから3年間の交渉の末に合併法人の設立にたどり着くことができた。SKとSABICは6,100億ウォンを投資して、今年の7月にシンガポールに合弁会社を設立した。 今回の 蔚山(ウルサン)工場は、SSNCの別法人として運営される。
 チェ会長は蔚山工場に続いてサウジアラビアに第2工場を建設する案を推進し、ネクスレンの生産規模を今後は100万トンにまで拡大するという野心的な目標も掲げている。

 竣工式に同席したサウジアラビアの王子でありSABICの会長であるサウド・ビン・アブドラ・ビン・スナヤン・アルサウド会長は、「SKのようなグローバル企業と手を組んで画期的な技術開発・技術革新を進めることは、SABICの発展にも貢献することに違いない」と言った。SK総合化学が独自に建設した蔚山ネクスレン工場は、今月19日、年産23万トン規模で量産体制に入った。一部の製品は、すでに韓国国内と中国に販売していて、ヨーロッパとアメリカへの輸出契約も進めているようだ。サウジ工場まで稼働を始めれば、韓国工場とサウジアラビアの工場は、世界石油化学市場で影響力が大きくなると期待されている。SABICの原材料供給と販売能力は、今後ビジネス展開に大きく寄与することが見込まれているようだ。

(了)

 
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