【衆院補選】長崎3区候補をめぐり自民県連が意見集約できず
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4月に行われる3つの衆議院補欠選挙(16日告示、28日投開票)で、自民党が全敗する可能性が高まっている。
県議団は擁立を主張
自民党の政治資金問題をめぐる問題で有権者の視線が厳しくなっており、とくに東京15区と長崎3区は、告示まで1カ月を切ったにもかかわらず公認候補擁立が進んでいない。また自民党関係者は、細田博之元衆議院議長の逝去を受けての島根1区も情勢が厳しいと指摘する。
とくに、谷川弥一前衆議院議員の辞職にともない補選が行われる長崎3区は、自民党内が大きく揺れている。従来、同選挙区は自民党が強い地域ではあるが、長崎県連が16日に開催した説明会では候補者擁立について結論は出なかった。
地元民放テレビのアシスタントディレクターやエアロビクスのインストラクターなどを務めた江真奈美長崎県議会議員(自民党)が立候補に意欲を見せるが、県連内では擁立するかどうかを含めて意見が分かれている。
県連会長の古賀友一郎参議院議員は同日の説明会において「党本部の決定がないと我々は前に進めない」「県連には両論ある。我々は党本部に判断材料を提供するというスタンス」と述べている。ただ、江県議はその発言に強い不満をもっているようだ。
長崎3区は大村市と佐世保市の一部や五島、壱岐、対馬などの離島が含まれる。つまり、中国や韓国と海を隔て国境を接する選挙区である。安全保障上の理由から自衛隊の駐屯地が多く、五島列島で最も大きい福江島には航空自衛隊福江島分屯基地があり、レーダーサイト部隊が配置されている。江県議はそうした状況から、「安全保障の観点から自民党は候補者を立てるべき」と主張しているという。
野党の一騎打ちとなるか
ただ、擁立に慎重な声もある。県議団の間では「不戦敗ではいけない。戦うべき」との主戦論が強いようだが、県連内に慎重論があるのは次の衆議院議員選挙からの選挙区が減るからである。
長崎県の小選挙区は次期衆院選から4から3に減る。区割り変更後、現3区のうち大村市と対馬市、壱岐市が旧2区を中心とした「新2区」に、東彼杵郡の3町や五島市、新上五島町などは旧4区を中心とした「新3区」に編入される。
新しい1区から3区の候補者は決まっており、逆風のなかわざわざ候補者を立てる必要はないという意見も県連内にあるようだ。
実際、谷川氏が政治資金問題で報道機関の取材に対して横柄な態度を示したことなどで、自民党のイメージは極めて悪い。そのため、県連会長である古賀氏自身が擁立に消極的である。同氏は岸田派に属していたため、岸田首相への配慮があるのではとみる向きもある。
そのため党本部も候補者を立てるべきか否か判断しきれていない。このままでは自民党は長崎3区において候補者を立てられず不戦敗になるだろう。
長崎3区補選には、立憲民主党からは山田正彦元農林水産大臣の次男である山田勝彦衆議院議員、日本維新の会からは学習塾を経営する井上翔一朗氏が立候補を表明している。このまま自民党が候補者を立てなければ野党候補の一騎打ちになるだろう。
【近藤 将勝】
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