2024年06月01日( 土 )

「孤独」の処方箋(後)―孤独を楽しむ間取りとは―(4)

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 日本のサラリーマンは忙しすぎる。たとえば50代以上の「モーレツサラリーマン」であれば、仕事最優先、出世や昇進を目指してがむしゃらに働くなかで、社外のコミュニティ活動などになかなか時間が取れない。ここのところの「働き方改革」で突如暇ができても、いったい自分が何をやりたいのかわからないと戸惑う人も多い。「イクメン世代」の30代・40代の男性たちは、仕事も家事も頑張れとハッパをかけられ、自分の時間もままならない。本人は頑張っているつもりでも、妻にはダメ出しをされ、毎日家庭と仕事との板挟み…。男たちは結局、友人との時間、趣味の時間、自分の時間をあきらめざるを得なくなってしまう。自分の人生なのに借りもののように生きた結果、周囲との関係性を深めることができない。孤独に陥りやすい男性、その原因を推考し、全方位から対症方法を考えてみたい。

孤独を楽しむ間取り

 ハードからの改善アプローチは限られてくるが、それでもいくらかは貢献できるはずだ。前述の「1人ドライブ」はおススメだが、「大人時間の創出」「リラックス空間」など、空間的な“開かれた孤立”の提案を、日常の生活風景のなか(間取り図)から取り出してみたい。ある一人暮らしの部屋。単身者向けに“孤”を楽しむ生活を、積極的に採用してみた。1人だから叶えられる開放性、独り占めできる醍醐味を感じてもらえるだろうか。どれが正解ということはない。何事も、身の丈に合ったものを選べばいいのだ。

『孤独の間取り ~大人時間を大事にする~』

①広い土間に、「自転車」「キャリーケース」「キャンプギア」など、室内に上げられないものをラフに置く。タフに使い回せる土間空間。
②靴の収納棚。もちろん良いものをそろえ、毎日使う。実用的なコレクション棚。
③ホールで外のほこりを一切振り落とす。コートもここで脱いでハンガーへ。
④「つくる」「食べる」「遊ぶ」はすべて同時に。大胆に!
⑤カウンターで「自宅立ち飲み」もOK。お酒は料理しながらいただきます。
⑥大きなテーブルを独占。何をするにもこの広さが便利。
⑦デスク廻りはスッキリと。壁面収納棚には書籍やお酒、フィギュアのディスプレイ。趣味のアイテムやこだわりのコレクションを見せる。
⑧気まぐれの愛ネコとの同居は、癒しのひととき。お互いにつかず、離れずが、楽。
⑨広い寝室はダブルベッドを独り占め。“無”になるリラックス空間。
⑩広めのウォークインクローゼット。洋服はたくさん掛けて、オールシーズンのファッションをいつでもスタンバイ。
⑪1人を楽しむバスタイム。周りに気兼ねなく、窓も外へではなく、“内空間に開く”。裸で動き回るもよし。
⑫トイレも、洗顔も、メイクも、身だしなみも、美容管理のスペースは広々確保を。

(了)


松岡 秀樹 氏<プロフィール>
松岡 秀樹
(まつおか・ひでき)
インテリアデザイナー/ディレクター
1978年、山口県生まれ。大学の建築学科を卒業後、店舗設計・商品開発・ブランディングを通して商業デザインを学ぶ。大手内装設計施工会社で全国の商業施設の店舗デザインを手がけ、現在は住空間デザインを中心に福岡市で活動中。メインテーマは「教育」「デザイン」「ビジネス」。21年12月には丹青社が主催する「次世代アイデアコンテスト2021」で最優秀賞を受賞した。

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