2024年12月30日( 月 )

福岡県議会の海外視察問題・超党派でルール作成へ~本質は県民への情報開示

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 福岡県議会の自民党県議団など主要会派代表が世界獣医師会の世界大会参加などを理由に公費で別の国も訪問した件が大きな問題となっている。

 海外視察の在り方を見直すため、香原勝司県議会議長が、近く超党派の議員によるプロジェクトチームの設置を、県議会の主要会派に提案することがわかった。

 服部誠太郎福岡県知事は、定例記者会見において「情報公開請求は、手間がかかるし、コピー代の負担も必要だ。情報開示を行う際は、職員の復命書の公表だけでなく、他の団体などを参考にして、県議会として主体的に検討することが望ましい」と香原議長に対して、積極的な視察報告の公表を行うよう申し入れを行ったことを明らかにしていた。

 県議会の海外視察をめぐっては、先月、テレビ西日本の報道をきっかけに県民の批判が高まり、7日夕方から、主要会派代表同席のもと、県議会議長室で視察報告書を開示する異例の対応が行われるなどした。

 国会で「政治とカネ」の問題が追及されている最中ということもあり、視察に参加した旧民主・社民系会派「民主県政クラブ」会長の岩元一儀県議が11日、立憲福岡県連の会合で陳謝するなど波紋が広がっていた。

 プロジェクトチームは、各会派の承認を得て、それぞれ数人ずつ、10人程度の県議会議員で構成する。このなかで報告書の作成や公表のルールを決め、視察費用などについても検討するという。

 福岡県政は主要課題に「ワンヘルス」を掲げており、県議会においても党派を超えて特別委員会を設置するなど、取り組みをすすめてきた。ただ、知事の海外出張は、記者会見や県のホームページで成果について報告が行われているが、県議会の場合は、これまで公に問われてこなかった。

 今回の視察も議会の議決を経て派遣されており、視察そのものは問題ではなかったが、観光地であるドバイへの視察を急遽入れたことや、今日時点でも視察費用を明らかにしておらず、そもそも視察報告書も公開されていない。県政記者クラブ未加盟の当社は蚊帳の外に置かれたままだ。

 こうした姿勢から福岡県議会は情報公開に消極的だとみられている。

 また、プロジェクトチームは、一人会派も含めての「超党派」なのかも明らかになっていない。県民を代表するすべての県議会議員による議論であるべきだろう。

 今回の問題はテレビ西日本の報道がきっかけとなったが、その取材手法に県議の間から批判の声も出ている。一方で、別の福岡民放関係者は「県議会は、取材のカメラを入れることを嫌がる傾向が強い」と語る。

 プロジェクトチームにしても、議事録を作成し、どのような議論が行われたのかなどを記録し、公表する必要がある。議会による国際交流は積極的に行うべきものであるが、今回、県民の批判があがったのは、情報公開が少ないことが問題の本質と捉えるべきで、真摯な議論とその情報公開が求められている。

【近藤 将勝】

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