岸田首相・6月解散見送りで9月の自民党総裁選も危うい
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岸田首相(自民党総裁)は、9月の自民党総裁選前の衆議院解散・総選挙を見送る方向だという。安倍派など自民派閥の政治資金問題をめぐって逆風が吹き荒れており、4月末の衆議院3補選や5月の静岡県知事選など、自公推薦候補の敗北が続いている。
自民党内からも「岸田首相で選挙が戦えるのか」という声が挙がっており、解散を強行すれば、党内からクーデターの動きが顕在化する恐れがある。また、7月7日投開票の東京都知事選挙を控え、連立を組む公明党が、解散に否定的であることも考慮されたとの見方がある。支持団体の創価学会女性部(旧・婦人部)が「政治とカネ」に猛反発しており、このままいけば、公明は連立離脱しかねない。
このため、政治の信頼回復と今月から開始した定額減税の実施など経済政策に集中し、会期の延長も行わない方向だ。総裁選で再選を果たせば、秋以降の解散を検討するというが、昨年何度か解散のタイミングがあったにもかかわらず、岸田首相は決断をためらい、ずるずると先延ばししてきた。
安倍・二階両派の政治資金問題で東京地検の捜査が行われ、政権の支持率が低迷するなか、「派閥が諸悪の根源」だとして、出身派閥の宏池会(岸田派)の解散を宣言し、安倍・二階派なども相次いで派閥解散を行ったが、それは同時に、支持基盤を自ら破壊したことになる。
政治資金規正法の改正についても、公明や日本維新の会の同意をとりつけるために、党内論議を無視して譲歩したことで、自民党内に不満や反発が充満しているという。
4日に自民党横浜市連の会合が行われたが、岸田首相は退陣すべきとの発言が公然と行われた。発言したのは市連会長で横浜市議会議員の佐藤茂氏。
佐藤氏は「(自民が下野した)2009年の政権交代時に匹敵する」と指摘し「政治資金規正法改正にめどが付いた今、総裁自ら身を引く苦渋の決断をし、強いリーダーシップの取れる新進気鋭の総裁を選ぶべき」と述べたという。
横浜市連は、地元の菅義偉前首相の影響力が強い自民党支部である。菅氏は、岸田首相らに引きずり降ろされ、非主流派となっており、いまだ深い遺恨があるという。
岸田首相の再選シナリオは危うくなりつつある。総裁選に立候補するためには、20人の推薦人が必要となるが、はたして、岸田首相の再選に向けて、どれだけ推薦人が集まるだろうか。
内閣発足直後いわれた「黄金の3年間」は雲散霧消し、国民は経済苦にあえいでいる。一方で、政治がこれほど面白く感じたことはない。岸田首相はじめ政治家にとっては、気が気でない毎日であろうが、次は何が起こるかと楽しませていただいている。
【近藤将勝】
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