相次ぐデータセンターの建設で電力需要が急増(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏CO2ガスを使った新発電システムが誕生
電力需要の増加が見込まれているなか、一方では脱炭素も実現しないといけないので、電源をどのように組み合わせるのが良いかという課題もある。
日本や韓国のようにエネルギー資源を輸入に頼っている国では、エネルギーの確保は、経済安保に関わる重大な問題となるため、経済性だけでなく、いろいろな要素を考慮したうえで、電源構成をする必要がある。
原発は原価は安いものの、安全性や膨大な建設コストなどの問題があるし、再生可能エネルギーは環境には良いが、コストの増加や電力供給の不安定性などの問題を抱えている。そうしたなか、台湾のある企業がCO2を圧縮したガスでタービンを回して発電をする画期的な発電方式を開発し、話題となっている。この発電方式はCO2ガスを排出するのではなく、循環型で長年にわたって繰り返し使えるのだという。
CO2ガスのパワーは水蒸気に比べ、30倍の力があるという。それに磁気浮上技術などの最先端技術を取り入れ、既存の電源と比べて、もっとも発電効率が良いという。
また、同システムは太陽光や風力発電と違い、24時間発電が可能となっている。ビルや地域ごとの発電施設になるため、送電網の建設にかかる莫大な費用も削減できる魅力的なシステムである。
発電設備は部品が故障すると、発電システム全体を停止させないといけないので、性能保証が求められるが、同システムはモジュール構成で、故障したモジュールだけ交換すれば済む。設備もすごくコンパクトで、10MWの電力を生産するのに必要な土地は220坪くらいで、国土の狭い日本や韓国にはうってつけの発電システムである。設備に対する国際認証などは取得済みで、世界から問い合わせが殺到し、すでに数件受注もしているという。
工場で製造し、現場で組み立てるだけで、発電所の建設にかかる所要時間も発注から6カ月前後。今後、台湾以外にも製造拠点を増やし、日本を中心として世界に展開していくという。電気代が競争力の源泉である暗号資産のマイニングを始め、離島、建物や集合住宅など、需要がいくらでもあると販売会社の社長は強調している。
原子力利権という言葉があるように、既存の電源もすでに業界が形成されていて、新しい発電方式をふたつ返事で導入してくれることはないと思うが、圧縮したCO2ガスを利用する新発電システムは、今後、電力需要の増加に対応できる新たな切り札になるかもしれない。今後の展開に世界の注目が集まっている。
(了)
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