2024年11月24日( 日 )

福岡・宮若市長ハラスメント認定も辞職を否定 過去に旧統一教会系書籍に登場

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 福岡県宮若市の塩川秀敏市長の職員に対する言動が「パワハラにあたる」とする調査報告書が、20日、市議会で可決された。

2割の職員がパワハラを受けた

福岡県宮若市 塩川秀敏市長    宮若市の塩川秀敏市長(75)が、市職員にハラスメント行為を繰り返していた問題で、市議会の百条委員会(注※)は、職員から寄せられた情報のうち8件をパワーハラスメントやセクシュアルハラスメントとして事実認定する調査報告書をまとめ、20日、市議会で報告され、賛成多数で可決された。

 一方、塩川市長は「人権の研修を受けている」と述べ、「ハラスメント防止条例を制定したい」として辞任しない考えを示した。

 認定されたのは、机を叩きながら「僕は365日24時間働いている。死ぬ気で働け」と繰り返し発言したことや、女性職員に年齢を聞いたうえで「子どもはいるのか?」と尋ねたり、出産について「普通か? 切ったか?」と発言したことなどである。

 昨年12月に市職員労働組合が実施したアンケートにおいて、約2割の職員が「市長からハラスメント行為を受けた」とし、6割が「見聞きしたことがある」と回答していたことが明らかになっている。アンケートは、全職員237人の約6割にあたる138人が回答した。

 20日の市議会で、百条委員会委員長の神谷喜久雄市議会議員は、報告に際して「混乱の責任を十分に認識していただき、身の処し方、今後の行動については、改めてご自身で考えるべき」と市長に進退を明確にするよう求めたが、塩川市長は辞職を否定し、今後も職にとどまる姿勢をみせた。

 塩川氏のような自治体の首長によるハラスメント行為は後を絶たないが、民間企業では労働施策総合推進法改正により、2022年4月からすべての企業においてパワハラ対策が義務化された。

 ハラスメントは人権侵害行為であることにとどまらず、職場の生産性低下や人材の流出などの問題を生むことも指摘されてきた。民間に範を示すべき行政の現場がいまだ旧態依然としている実態には、批判の声があがりそうだ。

注※:自治体に不祥事などが発生した場合、地方自治法100条に基づき議会が設置する特別委員会 ^

旧統一教会系出版物で教育論を語る 塩川市長の過去

    塩川市長は元福岡県立高校教諭で、ストライキなどの日教組(日本教職員組合)の活動に反対して結成された福岡県高等学校新教職員組合(現在、福岡教育連盟)の書記長や旧宮田町(宮若市)教育委員を経て、2007年から21年まで福岡県議会議員を務めた。県議時代は自民党県議団に所属していた。

 塩川市長を教師時代から知る関係者は、データ・マックスの取材に対し「日教組と対峙する一方で、各地で講演を行うなどしていた」と語り、「県議当選前だが、旧統一教会の関連団体の出版物にも登場していた」と証言する。

 2000年に旧統一教会系メディアである「世界日報社」から出版された『広島の公教育に再生の道はあるか』に登場し、教育に対する持論を語っていたほか、広島県福山市で教育再生について講演したことも紹介されている。同書は現在も、ホームページから注文可能となっている。(ビューポイントブックス「広島の公教育に再生の道はあるか」

 著者の鴨野守氏は、世界日報の記者や編集委員などを務め、2009年から8年間、「世界平和統一家庭連合」本部(旧・統一教会)の広報局長として、広報・渉外業務に従事した。現在、「富山県平和大使協議会」事務局長を務め、組織的に新田八朗富山県知事を支援した人物として知られる。

 塩川氏が、世界日報を教団の関連団体と認識していたかは定かではないが、結果として宣伝に利用されたと指摘されても否定できないだろう。いずれにしても、職員の信頼を失った首長が、人権教育の推進やハラスメント防止条例を掲げても職員がついてこないだろう。潔く身を引かれるべきである。

【近藤将勝】

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