2024年11月21日( 木 )

八丈島初街宣の小池都知事が戸別訪問の選挙違反!?

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 20日告示の「東京都知事選(7月7日投開票)」で三選を目指す小池百合子知事は、記者クラブ以外の質問には答えない差別的報道対応を続ける一方で白昼堂々、戸別訪問をするという公選法違反を行う大胆な選挙戦を展開している。

 12日の出馬表明後の囲み取材で小池知事は、テレビ朝日のS記者の代表質問にだけ答えて質疑応答を打ち切り、フリーの佐藤章氏の学歴詐称関連質問を無視したが(6月17日「前代未聞、“異様な”小池知事の三選出馬表明」参照)、そんなフリー記者排除の姿勢はその後も続いたのだ。

 告示日に小池氏は午前10時半からの選挙事務所での出発式で挨拶するだけで、第一声(街頭演説)を上げないという異例の対応。午後から公務として高層ビル街のなかにある「大手町の森」を視察、囲み取材にも応じたのだが、ここでも日本テレビの代表質問だけに答えたのだ。

    今回の視察に関連して小池氏が緑の大切さを強調した後、最後の代表質問が公務と選挙戦にどう臨むのかというものであったが、これに小池氏が「二刀流、ハイブリッドでいきたいと思う」と答えて囲みが終了。その瞬間に私は、「神宮外苑再開発は見直さないのか。同じ緑ではないか。(大手町の森視察は)『伐採女帝』の罪ほろぼしか」と大声を張り上げたが、小池氏は無言のまま立ち去った。

 テレ朝と日テレの違いはあるが、出馬表明後の囲みでも告示日の公務でも小池氏は、フリーの質問には答えない差別的対応を貫いたのだ。

 小池氏の魂胆が透けて見える。記者クラブの緩い質問だけに答えることで都合のよい情報だけを発信すると同時に、第一声(街頭演説)を避けることで有権者のヤジやフリーの声かけ質問が飛ぶといった不都合な場面が出現しないようにする。「メディアコントロール(世論操作)の天才」と呼びたくなる差別的報道対応を実践していたのだ。

 小池氏の初の街頭演説が八丈島となったのも同じ狙いと考えられたので、空港ロビーで待ち構えて声かけ質問をした。告示日2日後の22日午後1時、羽田発の全日空便が到着し、拍手で迎えられて子どもたちから花の首輪を贈呈されたとき、「小池さん、ヤジを避けて八丈島か。『萩生田百合子』と呼ばれたくないのか。『カイロ大中退』と呼ばれたくないからここを選んだのではないか」と大声を張り上げたのだ。

 しかし小池氏は反論することなく、集合写真を撮影。一段落したところを見計らって「(小島敏郎氏の)刑事告発について一言」と再び声掛けをしたが、これも無視しながら小池氏は「6回目の八丈島です。天気でよかった」と挨拶。そして出口へと歩き出したので、今度は至近距離から「ヤジが嫌で八丈島を選んだのではないか。『萩生田百合子』と呼ばれたくなかったのではないか」と叫ぶと、小池氏は声掛け質問には答えずに「つばさの党の人?」とつぶやいた後、車に乗り込んだ。

 空港到着から街宣が始まる午後4時まで5時間弱。「その間に地元有力者を回るのではないか」との見立てから、レンタルバイクで小池氏の車を追跡すると、初街宣告知には記載されていなかったホテル前での視察日程が組まれていた。しかもホテル関係者から説明を受ける様子をNHKだけが撮影していた。

 そこで視察終了後、小池氏に向かって抗議の声を挙げた。「知事、なんで日程を公開しないのか。なぜNHKだけ撮影しているのか。差別的報道対応ではないか。せこいのではないか。NHKだけなぜ独占取材なのか。せこいではないか」

 しかし小池氏はここでも一言も答えることはなかった。

 2ケ所目の視察場所は、八丈島乳業の「ゆうゆう牧場」。ここは事前に記者クラブに告知されて報道関係者がずらりと並ぶ中、小池氏が同じ名前の乳牛「ユリコ」にアシタバの餌を与えながら、社長から説明を受けていった。その様子は複数のメディアから紹介されたが、このときに出馬表明の囲みで無視されたフリーの佐藤氏が再び学歴詐称問題について声掛け質問、私も類似の問いかけをして続いたが、ここでも小池氏は一言も答えることはなかった。

 3ケ所目の視察はビニールハウス。ここには少数の報道関係者がついてきたが、ハウス内の同行取材は不可だった。1ケ所目と同様、小池氏に懇意なメディアだけに告知されていたのは間違いない。

 ただし最後に小池氏が向かった民家には、警備車両が同伴したものの、報道関係者はゼロ。公明党のポスターが張られた民家を訪問した小池氏を道路脇で待っていると、約30分後、緑文字入りの政策ビラを手にした小池氏が出てきたので、素朴な疑問をぶつけてみた。

 「知事、公明党、学会関係者との面談だったのか。選挙中の戸別訪問、禁止ではないか。どういうお話をしたのか。公明党関係者の家ですよね、これ。(公明党の)ポスターが貼ってあるが、選挙対策、作戦を練ったのか。選挙中の戸別訪問、禁止ではないか。学歴詐称問題、もっとオープンに語るべきではないか」。

 しかし、ここでも小池氏は一言も答えることなく、車に乗り込んだ。

    この後、東京(竹下桟橋)行きの船が出る底土港で小池氏は、島特産のスカーフをまとい、海を背景に初の街宣に臨んだ。そして「島の魅力をつかみながら、もっと良くしたい」などと訴える様子は、写真付で報道されることになった。事前に報道関係者に告知され、小池氏にとってプラスになる場面が切り取られて発信される仕掛けになっていたのだ。

 その一方で小池氏は報道関係者に告知しない時間帯には、私の目には選挙違反にしか見えない戸別訪問を白昼堂々としていた。警備(警察)車両を待たせながら、である。

 ばれなければ公選法違反をしても構わないという発想は、刑事告発をされた学歴詐称問題でも八丈島での戸別訪問でも共通するように見えるが、こうした小池氏の姿勢をどう有権者が判断するのか。都知事選の結果が注目される。

【ジャーナリスト/横田一】

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