2024年07月02日( 火 )

【加藤縄文道14】吉野ケ里の石棺 ~ あやつこ(後)

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縄文アイヌ研究会主宰
澤田健一

吉野ケ里 イメージ 「×」が古代日本人には大切な記号であったとしても現代日本人にはピンとこないであろう。ところが、皆さんは知らず知らずのうちに毎日目にしているし、使っているのだ。

 それは漢字である。漢字のなかにある「×」はイレズミを表しているのである。「文身」で「イレズミ」を表すが、正しくは「文(イレズミ)をいれた身」という意味なのだ。それは夷(今でいう縄文人)のイレズミをした身体を表現しているのである。

 「×」を含む漢字は「文」「凶」や、「学」「顔」「彦」の本字などがある。これらの漢字の「×」はイレズミ(つまりは縄文人)から発生しているのだ。中国には「彦」のつく神さまも人物もいない。これは日本民族にだけ必要な漢字である。自分たちに必要のない漢字(基は甲骨文字)などをつくるはずなどない。漢字の基となる甲骨文字を創ったのは大陸に渡った夷(縄文人)なのだ。その人々の顔にはイレズミがあり、だからこそ「顔」の本字は「×」を含むのである。

 そもそも甲骨文字には「漢」という字自体が存在していない。元来は、漢民族の文字ではないのである。「文字」という単語自体が、イレズミ(文)をした人の字ということを意味している。

 例として「凶」を見る。白川静著『常用字解 第二版』(平凡社)134頁の凶の解説には

「文身(一時的に描いた入れ墨)を描いた胸の形。凵かんは胸の形。×は朱色などで描いた文身の文様の。(中略)凶に人の全身を横から見たかたちの勹ほうを加えて匈きょう(むね)となり、身体の部分であるという意味の月にくづき(肉)を加えて胸(むね)となる。匈は胸のもとのかたちである」

 と記載されている。

 そして匈奴はイレズミを入れていたのである。司馬遷著、 小竹文夫・小竹武夫訳『史記 列傳篇三』(弘文堂)171頁7行目から

「匈奴の法律では、漢の使節は、持参した符節(注・漢の証明証)を捨て、顔に入墨した者でないと、単于(注・ぜんう、匈奴の王)の天幕に入ることが許されなかった」

 さて、『阿也都古考』に戻る。その70頁3行目から

「外国にも同じようなシンボルはあった。誰でも知っているのはキリスト教の十字、及びこれと必ず関係があろうと言われるスワスチカすなわち仏教の卍字なども、今ではどういうわけであの通り大切にされているのか、諸説紛々という状態であるが、この方のアヤツコがもし詳しくわかったら、事によると遠い上代に遡って意外な新しい解説がつくかもしれない。しかもあちらの学者たちがもう久しくかかって調べていることだけを、翻訳して受け売りしてみたところで始まらない。そんな事をする時間があるならば、まさに消えていこうとしている我々の同胞の、自分たち固有の十文字に対して、大昔以来抱いていた感覚を片端なりとも採集しておく方がよいのである」

 これは遠回しにではあるが、キリスト教の十字架や仏教の卍の起源が、もしかすると日本の「アヤツコ」にあるかもしれないと言っているのだろう。

 そして、上記でも同じことを指摘されているが、67頁最後の3行でも、

「日本の人は過去の自分の生活の中からも、いくらでもその法則を知ることが出来たのに、やたらに他国の人の言うことを聞くために、かえって話が面倒になってくるのである。受け売りをする前にまず自国のアヤツコを考えてみなければならぬ」

 と指摘される。

 つまり、古代の謎を解くカギは日本国内にあるのである。

(了)

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