2024年10月06日( 日 )

【マックス経営講座】中小企業の生き残り戦略 (第1回)企業価値向上の源泉について考える

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はじめに

 今回から企業価値について、さまざまな角度から考察し、本紙面をお借りして企業価値向上の重要性について確認していきたいと思いますので、お付き合いいただければ幸いです。

企業価値とは?

 企業価値については、捉える側面によって種々の定義がありますが、本講座では「その企業が持つ総合的な価値」といった広義の解釈を用います。広義で捉えた場合の企業価値は、大きく分けると財務状況、ビジネスモデル、ブランドイメージ、組織文化の4要素で構成されます。

企業価値を評価する方法

 企業価値を評価する方法は、一般的に財務的評価と非財務的評価に分かれます。

1.財務的評価

 財務的評価とは、財務の観点から会社の総合的な価値を算定することです。算定方法としては、主に「インカム・アプローチ」「コスト・アプローチ」「マーケット・アプローチ」の3つのアプローチ法が用いられます。また、「総資本経常利益率(ROA)」や「投下資本利益率(ROIC)」などの財務指標から評価される場合もあります。

2.非財務的評価

 非財務的評価は、財務指標だけでは捉えきれない企業の価値を評価するための方法で、主に財務状況以外の企業価値の構成要素に対応するものです。これらの指標は、企業の長期的な競争力や持続可能性を測るうえで重要となります。

SXと企業価値の関係

 最近、「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)」という言葉を耳にします。SXとは、企業がサステナビリティ(持続可能性)を重視した経営に転換するという概念です。ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)が企業経営に浸透するなか、中長期的に企業価値を向上させていくための戦略として注目されています。

 経済産業省は、2020年8月に公表した「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」の中間取りまとめ「~サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の実現に向けて~」のなかで、SXの具体的な取り組みとして以下の2点をあげています。

①企業としての稼ぐ力(強み・競争優位性・ビジネスモデル)を中長期で持続化・強化し、企業のサステナビリティを高めていくこと

②社会のサステナビリティ(将来的な社会の姿)を踏まえ、そこから逆算して企業としての稼ぐ力を経営に反映させていくこと

 次に、SXとDXおよびGXとの違いについて説明します。

(1)DX(デジタル・トランスフォーメーション)との違い

 DXとは、デジタル技術によって業務の効率化・競争優位性の確保などを目指すことです。DXが比較的、短期間で成果が要求されるのに対し、SXは中長期的に持続可能な環境、社会、企業の未来を目指すものですが、時間軸に差があります。

(2)GX(グリーン・トランスフォーメーション)との違い

 GXとは、脱炭素社会に向けて再生可能なクリーンエネルギーに転換していく取り組みを指します。日本では経済産業省が2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロとする「カーボンニュートラル」を目標に掲げています。

まとめ

 今回は、企業価値をさまざまな角度から考察しました。次回以降は、各々の構成要素と企業価値向上の考え方や評価について考察を深めていきます。


<INFORMATION>
(株)コンシャスマネジメント

所在地 :福岡市中央区天神1-4-1 西日本新聞会館16階(天神スカイホール内)
TEL :092-736-7528


<プロフィール>
(株)コンシャスマネジメント代表取締役/中小企業診断士
西岡隆
(にしおか・たかし)
大学卒業後、会計事務所、監査法人などを経て2001年中小企業診断士登録と同時に西岡経営管理事務所を開設。21年、事業拡張にともない(株)コンシャスマネジメントを設立

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