2024年07月16日( 火 )

都心の大型再開発の裏に巨大利権~小池知事3選で本当に良いのか?(前)

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 7日投開票の東京都知事選で、現職の小池百合子氏が3選を決めた。学歴詐称問題や明治神宮外苑再開発問題なども取りざたされ、選挙期間中、激しい批判コールも起こったが、小池氏の優位を揺るがすものにはならなかった。しかし、2期8年の都政運営には批判や疑問の声が少なくない。

都知事選で見られた投票率の上昇

東京都知事選 イメージ    今回の都知事選には、過去最多の56人が立候補したが、ふたを開けてみると、小池氏の得票数は、291万8,015票(得票率42.77%)で、前回2020年都知事選の366万1,371票より約74万票を減らした。とはいえ、2位の前広島県安芸高田市長、石丸伸二氏に120万票以上の差をつけている。

 東京と地方の中小規模の自治体との決定的な違いは、東京には無党派層が多いということだ。田舎であれば組織団体に左右される選挙がよく見られる。投票行動に仕事や親族関係などのしがらみが働くからである。

 自治体首長選は、現職優位になる傾向が強いといわれるが、しがらみが薄いとされる東京の場合、無党派層を多く取り込むことが重要な要素になる。小池氏の場合、テレビや自治体広報などで日常的に目にする機会が多い。

 年齢が高い層ほどテレビの影響度は大きい。一方、次点となった石丸氏は、YouTubeの動画をはじめネットの情報に触発された若い世代が投票している。

 Z世代と呼ばれる若者をはじめ20代、30代は組織などのしがらみが薄い。言い方を変えると20代、30代は、地方では強い地域共同体や職能団体の引力が弱い。それでも50代以上の投票数が多い状況では、現職を制するまでにはならなかった。

 今回の選挙の注目点の1つは、投票率がどうなるかだった。投票率は60.62%で、前回を5.62ポイント上回った。都選管が公表した都知事選当日の有権者数は1,134万9,278人で、投票者数は687万9,502人。棄権者数も公表されており、446万9,776人である。約4割の人が投票に行っていないが、前述のようにしがらみの薄い東京で投票率が伸びたことは、肯定的に捉えたい。

 たとえば港区の投票状況を見ると、投票率は56.56%で、東京23区のなかで6割を超えた区が多かったなかで、やや少ないが、前回の投票率が49.32%であったことを考えると、7ポイント上昇しており、今回の都知事選への関心の高さがうかがわれた。他の区や市町村でも、投票率は軒並み6割前後であった。

 選挙結果としては、現職の小池氏が再選されたが、街頭活動中、抗議のプラカードをもった人が多数詰めかけ、激しい抗議の声で小池氏の声がかき消されることもあった。そうした行動を一般有権者がどう受け止めたかだが、小池氏の都政運営に疑問をもつ人が少なくないことは明らかだった。

神宮外苑などの再開発と三井不動産

 3番手に沈んだ元参議院議員・蓮舫氏が訴えた争点の1つが、明治神宮外苑の再開発問題であった。小池氏に抗議する人たちは、外苑の再開発に反対する人が多い。

 そうしたなか、投開票日直前の5日、代表施行者である三井不動産が「『神宮外苑地区まちづくり』の取り組みについて」を発表した。

 これを読むと「本まちづくりは、明治神宮全体そして都心の環境維持に寄与するための、社会的意義の大きい事業」と述べたうえで、「今のままでは、次の世代にバトンタッチできない不都合な真実が存在する」と再開発の必要性を強調している。

 また、批判が多い樹木の伐採について「現在ある樹木については、複数の樹木医など専門家の意見も聞きながら樹木の状態などを詳しく調査し、既存樹木の一本一本を大切に扱いできる限り多くの樹木を保存します」とした。

(つづく)

【近藤将勝】

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