旧統一教会関係者が当社を訪問~批判的なメディアへの圧力か
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安倍晋三元首相の銃撃事件後、山上徹也容疑者の供述により、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と政界の関係や、生活が破綻するほどの高額献金や霊感商法などがクローズアップされた。政府は教団に対する解散命令請求を行い、福岡市は教団と関連団体に対する公共施設の利用を不許可としている。教団側は政府やメディアに対する反撃の動きをみせている。
メディア報道は宗教弾圧との主張
昨年6月、世論や国の動きに福岡市は敏感に反応し、市の管理する公共施設を教団および関連団体に貸し出すことを見合わせることを決めた。公共施設が教団による勧誘活動の場になることを懸念した市民の声が行政を動かしたかたちだ。
しかし、教団側はこれに強く反発し、公共施設の利用を認めないのは差別的扱いで違法として、今年3月、教団と団体代表の信徒が福岡市に約2,200万円の損害賠償を求めた訴訟を起こしている。
旧統一教会の信徒らでつくる「基本的人権・信教の自由を守る福岡県民の会」は、8月4日にアクロス福岡で「基本的人権・信教の自由を守る福岡大集会」として、シンポジウムを開催する。シンポジウム終了後、天神中央公園を出発して、福岡市役所をデモ隊で囲むかたちでデモ行進が行われる。
開催を3日後に控えた1日午後、当社に県民の会の事務局長・江頭一樹氏ら2人が来訪した。面会の趣旨は集会とデモの取材のお願いということであった。各報道機関を訪問して回っているという。
記者と同僚の2人で応対したが、冒頭、先月7日に博多駅前で行われた街頭活動の取材中に一部信徒から取材を妨害されたことへの謝罪を受けた。
県民の会側は、安倍元首相の事件以降、メディアの報道によって教団や信仰を持つ信徒が社会的に誤解され、職場や学校などで差別を受け、脱会支援団体により4,000人を超える信徒が拉致監禁されていることを訴え、自分たちの活動は、信仰に基づく真摯なものであることへの理解を広げたいという。
また福岡県の自民党国会議員全員が教団の支援を受けており、関係断絶は不当であるとの主張を展開した。
しかし、直接、各メディアを訪問しているのは、批判的な報道に圧力をかける思惑があるからではないかと感じられた。県民の会は、すでに報道各社に取材要請の文書を送っているからだ。当社の前には、別の放送局を訪問したという。
1時間の懇談のほとんどの時間、事務局次長が話を行い、事務局長・江頭氏は口を開かなかった。こちらの出方をうかがっている様子だったが、穏当なかたちをとりながらも、報道を牽制したいのが本音ではないか。
教団関連の集会に北九州市議も参加
一部信徒による取材中の妨害行為についても「信徒ではあるが、県民の会の方針に従わず勝手に活動している人物」という説明であった。
しかし、信徒が教団を取材してきたジャーナリストの鈴木エイト氏や有田芳生氏、被害者救済に取り組む全国弁連(全国霊感商法対策弁護士連絡会)の名前を挙げて、宗教弾圧を行っているとの主張は、教団本部や県民の会の主張とまったく同じである。
表向きは信徒会の活動としながら、教団本部や関連団体が関与して自治体や弁護士を訴えており、煽られた信徒のなかには攻撃的になる人が出てきてもおかしくない。
県民の会が博多駅前で行っている街頭活動は、毎回、100人ほどの信徒や教団職員が参加しているが、事務局側は4日の集会・デモには1,200人が参加すると豪語した。
北九州市議会は、一昨年の12月議会において「反社会的な旧統一教会に関与しないことを確認する決議」を全会一致で可決しているが、決議に賛同したことを誤りだったとして、教団側の請願の紹介議員になった市議も集会とデモに参加するという。
もちろん、教団側の言い分をまったく無視してよいものではない。直接、思いや考えを取材することは大事なことである。
そもそも教団とほかの宗教が異なるのは、政治的に反共産主義を掲げ、自民党などの保守派の政治家を応援しながら、反日的な教義を説くことである。
旧統一教会は、日本について、「本来許されない国」であると規定している。自らが天国に行くためには、慰安婦問題などについて教団内部の用語で「蕩減」と呼ばれる謝罪、贖罪を行い、お金を貢がなければならないと教えてきた。霊感商法や勧誘行為で、旧統一教会であることを明かさなくともよいとしてきた。
近年、警察の摘発により、そうした活動は目立たなくなったが、日本人が韓国に金銭的貢献を行うべきであるとする教義や献金の本質的な問題は変わっていない。当社は、教団による反社会的な活動や、政治家との関係、2世問題などについて、どのような圧力を受けようとも、今後も毅然と報道を続けていく。
【近藤将勝】
企業調査会社(株)データ・マックスが手がける経営情報誌『I・B』やニュースサイト「NetIB-News」は、信頼性の高い情報ソースとして多くの経営者にご活用いただいています。メディアとしてさまざまな情報を取り扱っており、国内外や地元福岡の政治動向に関する情報は経営者以外にも自治体組長や国会議員、地方議員などに幅広く読まれています。
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