【加藤縄文道19】日本民族の三重構造について
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縄文アイヌ研究会主宰
澤田健一以前、「日本民族の三重構造」という説明をしました。その当時の配信を受けていない方は『縄文アイヌ研究会』のHPをご覧ください。
その時点ではサンプル数の少なさが課題でありました。ところがその課題を克服するデータがついに発表となりましたので、ご紹介いたします。
それは今年4月の理化学研究所の発表です。「全ゲノム解析で明らかになる日本人の遺伝的起源と特徴」。 このサブタイトルが物凄いのですが、「―ネアンデルタール人・デニソワ人の遺伝子混入と自然選択―」
つまり、私たちの体にはネアンデルタール人やデニソワ人の血が流れているのです。その古代型人類の遺伝子が現代の私たちの疾病におよぼす影響まで解明され始めています。これからさらに具体的な証明がなされていくことでしょう。
では、今回の重要な指摘ポイントを見ていきます。「今回、共同研究グループは、バイオバンク・ジャパン(BBJ)が提供した3,256人分の日本人の全ゲノム情報を解析しました」。これまで日本民族のゲノム解析は遅れており、1個体あるいは数個体のデータで論じられてきました。それが今回は3,256人分ものデータ解析に基づく研究成果なのです。データ数が少ないという弱点を完全に克服しています。
それでは理化学研究所の指摘を見てみましょう。「現生人類(ホモ・サピエンス)の最も近縁とされる古代型人類ネアンデルタール人やデニソワ人から受け継いだ遺伝子領域を特定しました」。私たち日本民族の体には古代型人類の血が流れているのです。その遺伝子領域の特定まで終わっているというのです。
そして今回一番重要であり、必ずご理解していただきたい指摘が最後のほうに記されています。「最近日本列島の遺跡から出土した人骨のゲノムの研究による『三重構造』モデル、すなわち、縄文人の祖先集団、北東アジアに起源を持ち弥生時代に日本にわたってきた集団、そして東アジアに起源を持ち古墳時代に日本にわたってきた集団の三集団の混血により日本人が形成されたという説が提唱されました」、と。
これまで日本民族は「二重構造」で説明されてきました。縄文人が住んでいた日本列島に、朝鮮半島から渡来人がやってきて弥生時代を迎えたと学者たちは解説してきたのです。縄文人と弥生人は別民族だというのです。それは絶対に間違っていると私は主張してきました。それを学術的に指摘してくれたのが「三重構造」説でした。
ただし、「先行研究で用いられた古人骨全ゲノムのサンプル数は制限されており、より多くの解析が必要と考えられていました」。サンプル数の少なさが弱点となっていたのです。
それを克服したのが今回の研究成果です。「本研究は、大規模な現代日本人ゲノム情報に基づいて、この三重構造モデルの裏付けになり、日本の人口構造をより適切に説明する可能性があると考えられます」。今回の解析結果は「三重構造」の裏付けとなったのです。
それでも「適切に説明する可能性がある」という抑制的な解説となっています。「理化学研究所などが取得した約27万人のゲノムデータを保有する」とされており、実は理化学研究所は27万人分ものデータを保有しているのです。これからより大量のデータ数に基づく、より完璧な解析がなされていくことになるのでしょう。
解説:日本民族の三重構造
(1)祖先集団
3万8,000年前:南方から舟で北上してきたホモ・サピエンスが古代型人類と混血
→「夷」の誕生!
(注:これを縄文人ゲノムと呼びますが、この時点では後期旧石器日本人です)(2)第2集団
弥生時代:「北東アジア起源の遺伝子」が混入されます。
(注:これはスキタイとか匈奴や諸夷と呼ばれる人々ですが改めて解説します)(3)第3集団
古墳時代以降:「東アジア起源の遺伝子」の混入が開始されます。
(注:これが朝鮮半島からわたってきた漢民族や朝鮮系民族です)これらの詳しい解説はおいおいしていきますが、ここでは重要な1点だけ押さえておいてください。それは、「弥生時代に朝鮮半島からの異民族流入などなかった」ということであり、朝鮮半島からの渡来人は古墳時代になってから入ってくるのです。
つまり、「弥生人は稲作渡来人ではない!」ということです。
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