自民総裁選で唯一、消費税減税を掲げる“青山参院議員の志”
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自民党総裁選が近づくなか、立候補を予定、あるいは立候補の意向を示す各陣営による推薦人確保をめぐっての激しい争いが水面下で繰り広げられている。
財務省に宣戦布告
そうしたなか、青山繁晴参議院議員が23日、国会内で記者会見を開き、自民党総裁選に立候補の意向を表明した。会見には和田政宗参議院議員が同席した。会見で青山氏は「消費税の減税」を政策として掲げ、財務省の緊縮財政路線に戦いを挑む姿勢を鮮明にした。
自民党内には財政政策をめぐり「財政規律派」と「積極財政派」の2つのグループが存在しており、安倍元首相の事件までは積極財政派に勢いがあった。しかし、政治資金問題で派閥が解散し、安倍派の求心力が低下したことで、財政規律派が勢いを取り戻しつつある。
政府は6月、経済財政運営のいわゆる「骨太方針」を閣議決定し、「基礎的財政収支」(プライマリー・バランス)を2025年度に黒字化させる財政再建の目標を3年ぶりに明記した。青山氏はこの方針を党内で論議した際、次のように発言している。
「プライマリー・バランスを来年度の25年度に黒字化する、と書いてあるが、できるのですか。無理をすればできるかもしれない。しかし、日本経済が滅茶苦茶になってしまう。財政健全化優先派であっても、来年度にプライマリー・バランスが黒字化する、と思っている人は居ないでしょう。できもしないことをできるかのように書くのは、大変、良くない。自由民主党への信頼が余計に下がる」
自身が代表を務める「日本の尊厳と国益を護る会」(略称:護る会)の会合においても、たびたび積極財政や消費減税を訴えてきた。コロナ禍においては、護る会と自民党の若手有志による議員連盟「日本の未来を考える勉強会」との連名で、新型コロナウイルスの感染拡大に対処する政府の緊急経済対策に、消費税減税を盛り込むよう緊急声明を出すなどの活動を行ってきた。
23日の会見においても「減税によって個人の購買力を高めることが必要だ」と述べたうえで「11人の候補者のなかに財務省と対峙するという人はいらっしゃらない」とほかの候補者との違いを示し、自身への支持を訴えた。
ただ、青山氏は高市早苗経済安保大臣や、立候補表明を行った小林鷹之前経済安保大臣ら「岩盤保守層」からの支持が重複する。当初、青山氏を応援する同僚議員は40人を超えていたが、「岸田首相が不出馬表明を行ってから減っていき1人になった」という。しかし、9月12日の告示日には、推薦人20人を集められるとも述べた。なお、護る会の副代表を務める鬼木誠衆議院議員(福岡2区)は、たびたび青山氏を自身の集会に招いており、小林氏の推薦人になっている。
旧来の自民党政治からの脱却
青山氏は派閥の政治資金問題について「国会議員からもう一度ヒアリングしなければならない」と徹底した再調査を求めており、派閥と政策活動費の廃止を訴えている。旧来の自民党の政治の在り方が、今回の派閥による政治資金問題につながっているとの考えが根底にあるようだ。
積極財政という点で、青山氏は高市氏と支持層が重複するが、高市氏を応援するのは日本会議関係者が中心であり、青山氏の場合はネット保守層の支持が多い。無派閥であり、しがらみが少ないため、安倍元首相の事件直後、複数の報道機関に対して、派閥の長が旧統一教会の選挙支援を差配していたと証言することができたのだろう。
いずれにしても青山氏による主張の本丸は消費減税である。自民党内にも同様の主張をするグループがあり、野党のなかにも立憲の一部や国民民主、れいわなどに消費減税を主張する議員がいる。
経済評論家の森永卓郎氏が財務省寄りの政策を「ザイム真理教」と名付けたが、政界において、ザイム真理教の勢力はいまだに根強いものがある。「格差を広げた」と小泉改革を批判する立憲の前代表・枝野氏も消費減税を否定しており、ザイム真理教の信者といってよい。
ただ、青山氏をはじめ、与野党、そして国民の間で消費減税を求める声が高まっていくことが、大きく政治を変えていくことにつながるのは間違いない。青山氏の志に大いに期待したい。
【近藤将勝】
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