【旧統一教会問題】13年参院選時に幹部が安倍首相と面談報道~今こそすべてを明らかに
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森屋宏官房副長官は本日午前の記者会見で、安倍晋三首相(当時)が2013年の参院選前に世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)の徳野英治会長(当時)らと自民党本部で面談していたことを朝日新聞が本日付けで報じたことに関し、「報道は承知している。自民党の調査に関する事柄であり、政府の立場でコメントすることは差し控える」と述べた。
安倍元首相と教団幹部の密会
自民党は一昨年の点検・調査で党として教団との組織的な関係はなかったと結論付けているが、多くの識者や自民党内からも「安倍氏との関係含め、もっと踏み込んだ調査を行うべきだ」との声が上がっていた。
朝日新聞によると面談は13年6月末、参院選公示の4日前に行われた。自民党本部の総裁室において、党本部も休館となる日曜日に面談は行われた。面談に同席したのは、自民党から萩生田光一氏(後に政調会長)、岸信夫氏(後に防衛大臣)。旧統一教会側は徳野英治会長、国際勝共連合の太田洪量会長と幹部2人、日本の教団を統括する全国祝福家庭総連合会の宋龍天総会長(いずれも当時)であった。
13年の参院選は12年の衆院選で自民党が政権に復帰して最初の選挙であり、参議院とのねじれ状態を解消させ、法案をスムーズに通していくために、自民党にとっては絶対に勝つ必要があった。
教団は北村氏の支援を約束
一方、教団は当時厳しい状況にあった。警察庁が主導となり、07年から09年にかけて信者が経営する販売会社を摘発。東京や大阪、福岡などにおいて、特定商取引法違反や薬事法違反などで逮捕者も出ている。生活安全部門だけでなく、公安部門も摘発に乗り出す異例の事態に、教団は「コンプライアンス宣言」を出し、会長が辞任せざるを得ない状況にまで追い込まれていた。同宣言を出した当時の会長が、安倍氏と面談した徳野氏である。
12年に教祖の文鮮明が死去し、後継をめぐって妻・韓鶴子(ハン・ハクチャ)と子どもたちとの間で後継者争いが勃発。13年前後は韓氏が実権を掌握する時期にあたる。自民党は参院選に勝利するため選挙支援が欲しい、教団としては与党に復帰した自民党に接近し、選挙支援を約束することで、警察の摘発を受けないようガードしてもらうということで両者の思惑が一致したものとみられる。
安倍氏サイドの依頼により、教団は安倍氏と同じ山口県出身で、元産経新聞政治部長・北村経夫氏を応援することになった。北村氏の祖母で、宗教団体「天照皇大神宮教」の開祖・北村サヨは、安倍氏の祖父・岸信介氏と親交があり、「岸さんは必ず首相になる」との予言も残している。なお、安倍氏と旧統一教会との関係も信介氏の時代まで遡る。
北村氏は石油連盟や全日本トラック協会などの支援を受けたほか、選挙運動に長けた旧統一教会の支援も加わったことにより、党内得票数15位で当選することができた。
福岡・久留米の教団施設で講演
教団は、関連団体の「世界平和連合」から、福岡市におかれた北村氏の選挙事務所に女性職員を派遣するなど全面支援を展開。13年7月10日、塩谷立元文部科学大臣を博多駅前に迎えての演説会が行われたが、その日の夜、久留米市と福岡市の教団施設で北村氏の演説が行われている。
しかし、当時、ほとんどのメディアはこの問題を報じなかった。自民党と教団の関係は深まり、自民党議員は悪びれることなく、教団関係者と関わりを強めていった。もちろん、政治家は教団の教義に賛同したのではなく、反共思想や家族重視を支持したのであるが、その裏で多くの献金などに苦しむ被害者や、宗教2世の問題は放置された。
一昨年の自民党の点検で、379人の党所属議員中179人に選挙支援や会合出席の接点があったことを認めたものの、任意の自主点検であり、すべてが明らかにされたとは言い難い。北村氏も支援の事実は、認めたものの、福岡選挙事務所に教団関係者がきていたことについて「そうした人と会っていない」と否定したままである。
教団の支援を受けたのは北村氏だけではない。党の幹部や政府の要職に就いていた政治家が沈黙してやり過ごそうとしていることこそ問題だ。また、安倍氏は調査対象にされなかった。福岡県内のある教団職員は「自民党の福岡県内の国会議員のほぼ全員を支援してきた」と語った。自民党総裁選前の今こそ真実を明らかにすべきである。
【近藤将勝】
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