2024年10月01日( 火 )

勢いづく福岡の東部臨海エリア(2)

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東部エリアの副都心 開発熱冷めやらぬ香椎

 福岡市東区の香椎エリアは、JRの鹿児島本線と香椎線との乗換駅であるJR香椎駅のほか、西鉄貝塚線の西鉄香椎駅、福岡都市高速1号線北端の香椎出入口などを擁し、福岡市東部の交通の要衝といえる場所だ。また、周辺には香椎高校や福岡女子大学、九州産業大学などの複数の学校を擁する学生街としての性格も帯びている。1977年の福岡市の総合計画(第4次)においては「東の副都心」として位置づけられ、89年には福岡市が「香椎副都心整備計画」を策定。これは隣接する千早エリアと合わせて整備が進められるもので、まず先行してJR千早操車場跡地での再開発となる千早エリアの「香椎副都心土地区画整理事業」(約66.3ha)がスタートした。2003年7月のJR千早駅の開業や、翌04年8月の西鉄千早駅(名香野駅から改称)の移転開業を経ながら、千早駅周辺の区画整理が進行していき、周辺の都市計画道路も順次開通。こうした道路インフラの整備進行とともに、新たな街区には次々と建造物が建ち並び、千早に新たなまちが形成された。

 一方の香椎駅周辺エリアでは、「香椎駅周辺土地区画整理事業」がスタート。西鉄貝塚線(旧・宮地岳線)の鉄道高架化を始め、幹線道路や区画道路、駅前広場や公園などの一体的な整備によって総合的なまちづくりを図ろうというもので、交通拠点性の強化に加え、既存商業の高度化や居住環境の向上を目指すとともに、前述の千早エリアと機能分担および連携した広域拠点の形成を目指したものだ。この土地区画整理事業の進行とともに、古くからの香椎のまちは刷新され、区画整理事業が完了を迎えた21年3月末以降は、順次新たなビル開発などが進んでいる。なお、香椎の沖に浮かぶ人工島「アイランドシティ」の詳細については、前号(vol.75/24年8月末発刊)で触れたので、ここでは割愛する。

(左)JR香椎駅 (中)ポレスター香椎駅前
(右)(仮称)サンパーク香椎駅前

 近年の主な分譲マンション開発動向を見ていくと、JR香椎駅に至近の香椎駅前1丁目では(株)マリモによる「ポレスター香椎駅前」(52戸、24年3月竣工)が開発されたほか、国道3号沿いの香椎駅前3丁目の全農香椎寮跡地では、大英産業(株)による「(仮称)サンパーク香椎駅前」(90戸、24年11月着工予定)が開発されようとしている。

(左)イオンモール 香椎浜 (右)オーヴィジョン香椎浜ザ・シティ
(左)イオンモール 香椎浜
(右)オーヴィジョン香椎浜ザ・シティ

 また、「イオンモール香椎浜」に至近の香椎浜2丁目の「hit香椎浜住宅展示場」跡地では、(株)エス トラストと旭化成不動産レジデンス(株)による医療モールとの一体開発レジデンスとなる「オーヴィジョン香椎浜ザ・シティ」(286戸、24年12月竣工予定)の開発が進んでいる。なお、イオンモール香椎浜の隣接地には24年6月に新たな商業施設「Kashii iina Terrace(香椎いーなテラス)」も開業したほか、イオンモール香椎浜から道路を挟んで海側にある「香椎浜北公園」では今後、(株)百田工務店を代表とする企業グループによってPark-PFI制度を活用した整備が行われる予定。イオンモール香椎浜から道路を挟んで東南側の香椎浜4丁目では、九州旅客鉄道(株)(JR九州)による「MJRザ・ガーデン香椎」(420戸、23年1月竣工)の開発も行われた。

(左)Kashii iina Terrace(香椎いーなテラス) (右)MJR千早ミッドスクエア
(左)Kashii iina Terrace(香椎いーなテラス)
(右)MJR千早ミッドスクエア

 さらに、千早エリアと香椎エリアの端境に位置する千早5丁目の「香椎ビッグマートビル」跡地では、JR九州のほか、住友不動産(株)、日鉄興和不動産(株)、(株)長谷工不動産の4社による「MJR千早ミッドスクエア(千早532プロジェクト)」(532戸、25年2月下旬竣工予定)の開発が進んでいる。前出のオーヴィジョン香椎浜ザ・シティやMJRザ・ガーデン香椎も合わせると、エリア内に1,200戸超が供給されることになる。

 そのほか、JR九産大前駅まで徒歩4分の香住ヶ丘2丁目では、(株)アライアンスによる「エイリックスタイル香住ケ丘クオリア」(31戸、24年3月竣工)の開発も行われた。

(左)MJRザ・ガーデン香椎 (右)エイリックスタイル香住ケ丘クオリア
(左)MJRザ・ガーデン香椎
(右)エイリックスタイル香住ケ丘クオリア

住宅開発も旺盛な海の中道の基部・和白

和白干潟
和白干潟

    香椎の北側に隣接し、新宮町との境となっているのが和白エリアだ。志賀島に向かって延びる陸繋砂州・海の中道の基部にあたり、住所表記上は「和白」「和白丘」「和白東」「美和台」「三苫」「塩浜」「高美台」などが和白エリアと認識されている。エリア内にはJR香椎線と西鉄貝塚線が乗り入れる和白駅があるほか、西鉄香椎線の三苫駅、JR鹿児島本線の福工大前駅(08年3月に筑前新宮駅から改称)があり、優れた交通利便性を生かして、連なった丘陵地には高美台や美和台などの多くの住宅地が形成されている。また、JR福工大前駅はその名の通り、駅東側に福岡工業大学のキャンパスが広がっており、駅周辺はマンションやスーパー、銀行、飲食店などが多く立地。学生だけでなく、ファミリー層にも人気のエリアとなっている。

(左)クラブスタイル 和白駅前シーサイド  (右)フリーディア和白レジデンス
(左)クラブスタイル 和白駅前シーサイド
(右)フリーディア和白レジデンス

 和白エリアでの主な分譲マンション開発を挙げると、西鉄貝塚線・JR香椎線の和白駅まで徒歩6分の距離にある和白4丁目の和白干潟を臨む場所では、アライアンスによる「クラブスタイル 和白駅前シーサイド」(46戸、25年12月下旬竣工予定)の開発が進行。和白駅まで徒歩8分の距離にある和白2丁目の国道495号沿いでは、東宝住宅(株)による「フリーディア和白レジデンス」(61戸、25年5月下旬竣工予定)の開発も進んでいる。また、JR福工大前駅まで徒歩3分の和白丘1丁目の国道495号沿いでは、東宝住宅による「フリーディアシティ和白丘」(141戸、24年2月竣工)も開発されている。さらに、西鉄三苫駅まで徒歩7分の三苫3丁目の県道538号・湊塩浜線沿いでは、アライアンスによる「エイリックスタイル三苫駅サザンコート」(28戸、24年9月竣工)の開発も行われた。

(左)フリーディアシティ和白丘  (右)エイリックスタイル三苫駅サザンコート
(左)フリーディアシティ和白丘
(右)エイリックスタイル三苫駅サザンコート

(つづく)

【坂田憲治】

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