武雄市議会、大学新設へ13億円支援予算を可決 小松市政の無謀な計画に前武雄市長が直言
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佐賀県武雄市が、現市長・小松政による「武雄アジア大学」計画で揺れている。この計画に13億円もの税金が投入されることに、前市長・樋渡啓祐が公然と反対している。問題の背景には、経済効果の不透明さ、市民の意見の軽視、そして市財政への重大なリスクがある。
「武雄アジア大学」は、佐賀女子短期大学を運営する(学)旭学園が進めている計画で、2026年4月の開学を目指して24年10月に文部科学省へ申請する予定だ。
当初は複数の学部を設置する予定だったが、最終的に「東アジア地域共創学部」の1学部体制に縮小された。だが、樋渡氏は「経済効果がほとんど期待できず、市に多大な財政負担をもたらすだけだ」と強く批判している。
樋渡氏の懸念は、地方の私立大学が直面している厳しい経営環境に基づいている。新設された多くの大学は定員割れや経営破綻に直面しており、地域にとって経済的なメリットをもたらさないケースが多い。さらに、私立大学は宗教法人と同様に免税措置を受けており、税収の増加も期待できない。
加えて、市議会への説明不足も問題視している。大学設置に必要な基本計画や進学希望者数、地元企業への就職見通しなど、必要な情報が市議会に対して一切提供されていないにもかかわらず、13億円の支援予算が可決された。また、市民アンケートでは8割が大学設置に反対しているにもかかわらず、その声は軽視されている状況だ。
樋渡氏はとくに経済効果の不確実性を強調している。地方私立大学が経済効果をもたらすとの主張は、現実を無視した楽観的な見通しに過ぎない。小松市長は「市議会の理解を得ている」と計画を推進する姿勢を崩していないが、樋渡氏は「旭学園に申請を出させないことが市長の責任の取り方だ」と主張している。もし申請後に不認可や経営失敗が起きれば、武雄市の名声は損なわれ、財政的なダメージも免れない可能性が高い。
さらに「武雄アジア大学を考える会」による試算では、武雄市が発表した税収増加見込み3,280万円が実際には643万円にとどまることを明らかにしている。こうした再計算が示すように、計画の経済効果は極めて限定的だ。また、10月17日の申請期限の段階においても、市民への十分な説明が行われておらず、透明性の欠如が問題となっている。
樋渡氏は繰り返し、「市長の責任の取り方は、無謀な計画から手を引き、旭学園に申請を出させないことだ」と訴える。市民の声を無視し、経済効果が不確実な計画に13億円を投入することは無責任だ。今こそ、武雄市は冷静な判断を下し、地域の未来にふさわしい政策を進めるべきだと強く主張している。
認可申請の提出期限を過ぎた10月23日現在、旭学園からは認可申請の提出の有無について、取材への回答は得られていない。
【児玉崇】
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