福岡城の天守復元 市民アンケートは肯定的、文化庁の硬直した基準が課題(前)
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福岡城の天守復元について議論をすすめる『福岡城天守の復元的整備を考える懇談会』(ふくふく懇)の活動もいよいよ大詰めを迎えつつある。今後、懇談会はこれまでの議論と市民の意見を取りまとめて福岡市長に報告し、天守復元について提言することになる。
天守復元に向けて今後の焦点はどこになるのか。市民アンケートの中間報告と、懇談会事務局が文化庁を訪問した報告を基に考える。市民アンケートの中間報告
先月9日に開催された第5回ふくふく懇において、市民アンケートの中間結果が発表された。
福岡城に関する市民アンケートは、インターネット調査会社に委託して実施されており、福岡市在住者で性別、年齢に偏りがないように無作為に抽出された2,000人を対象として行われている。
Q3-問1:かつて福岡城に天守が存在したことが通説となっていることを知っていたか?
「知っていた」と答えた人が「知らなかった」と答えた人をわずかに上回る結果となった。
Q3-問2:天守を復元することについて、どのように感じますか?
この回答を年代別で見ると、「賛成」+「どちらかというと賛成」はすべての年代層で過半数を占めており、とくに20代、50代、70代では60%を超えている。その一方で、「分からない」との回答は、40代以下の若い世代に多い傾向にある。
また、図表には含まれないが、問1の「知っていた」か「知らなかった」かで復元の賛否を見ると、「知っていた」人の69.8%が肯定的で、否定的は15.8%であった。一方、「知らなかった」人も肯定的が47.1%と半数近くで最も多く、否定的は12.8%、また、「分からない」が40.1%であった。
アンケート結果に対する委員の意見
アンケート中間結果の公表の後、懇談会では結果に対して委員からさまざまな意見があがった。
石井幸孝委員(福岡城・鴻臚館市民の会理事長)ほか複数
天守復元の賛否に関する設問(Q3-問2)について、関心がある人が中心に集まった先日のフォーラムにおけるアンケート結果では、「賛成」52%、「どちらかというと賛成」27%で、合わせて79%が肯定的だったが、今回のウェブリサーチの結果でも59.1%が肯定的で、市民の意見の大勢として大きな差がないことが分かった。
谷川浩道顧問(福岡商工会議所会頭)ほか複数
Q3-問2における年齢別の賛否で、「分からない」という回答が若い世代を中心に多い。いきなり質問されても「分からない」と答えるのは無理もない。天守復元をめぐるこれからの活動としては、若い世代の人たちへ天守復元の意義について丁寧に説明をしていくことがとても重要ではないか。
高木直人委員(九州経済調査協会顧問)
福岡城跡への来訪目的を聞いたQ2-問2で、「歴史に触れる」という回答が少ない。これは福岡城跡の整備の在り方を考えるうえで福岡市は大いに課題とすべきことだ。
千相哲委員(九州産業大学副学長)
天守の復元について尋ねたQ3-問4で、市民の回答が「過去に存在したものにできるだけ忠実なもの」を重視していることは重要だ。どのような根拠に基づいて、どのようにできる限り忠実な天守の復元を検討しているのか、広く情報を公開することが必要だろう。
(つづく)
【寺村朋輝】
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