国産・建設用3Dプリンタ量産へ
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(株)Polyuse(ポリウス)
代表取締役 大岡航 氏国内唯一の建設用3Dプリンタメーカーの(株)Polyuseは、国産建設用3Dプリンタ「Polyuse One(ポリウス ワン)」の先行受注販売の予約を開始するとともに、9月11~13日に大阪市のインテックス大阪で開かれた建設DX展で展示した。2024年度は限定30台販売の想定で販売価格は3,300万円(税込)とし、25年4月より量産製造、同年夏ごろから順次納品予定だ。「3Dプリンタの導入により人手不足や工期短縮、災害復旧などの課題に対応可能です。とくに地域のゼネコンさまやプレキャストメーカーさまに技術による効果を感じていただきたい」と語る同社の代表取締役・大岡航氏に、話を聞いた。
──「Polyuse One」の量産に至った経緯について。
大岡 建設用3Dプリンタ試作機「Polyuse Zero(ポリウス ゼロ)」を活用し、これまで公共工事を中心に国内最多の3Dプリンタの施工実績と各種検証データを蓄積し続け、社会実装を進めてきました。「Polyuse One」では、運用性や印刷精度などのさらなる改善を行うことで、幅広い公共工事に適用可能な品質性を向上させました。また、試作機では組み立ては容易なものの、対応する人によっては運用性や品質性の安定性に欠けるという点が存在していましたが、Polyuse Oneでは折り畳み形状を採用することで、印刷準備作業から運用性にかけての安定化につなげることができました。さらには建設現場であっても簡単に運搬や移動が可能な仕様に対応し、季節や屋内外問わず長時間稼働も想定した運用を続けられるよう、機械の耐久性確保の試験もクリアしています。
──建設用3Dプリンタが適した工事とは。
大岡 たとえば「災害復旧」は、施工効果が上げられる可能性が高いです。過去、山形県で行った災害復旧工事内での3Dプリンタ擁壁では最小限の人材と資材で工期を半数近く短縮することができました。擁壁工事はそもそもの形状が多岐にわたるほか、規模が大きくなるにつれて長期間の人材確保(型枠大工等)が必要なのですが、深刻な職人不足や経済状況の影響や工事単価の流動化もあり、施工管理は容易ではありません。ゆえに災害復旧に限らず、擁壁工事での施工効果は小さくないと見ています。
「令和6年能登半島地震」の復旧工事が来年度より本格的に着手されますが、3Dプリンタ技術が貢献できる余地は十分にあると考え、現在各方面の方々と協議をさせていただいております。
その他にも高知県で施工環境を考慮した河川の3Dプリンタ護岸ブロック工事では、地形の点群データを前提に印刷データを作成し工事を完成しました。省人化、工期短縮、出来栄えも意識した、在来工法ではできなかった工事を実施することができました。
建築では非構造や外構領域に導入が進む一方、建物本体の柱や梁のような構造領域での一般活用の事例は乏しく、基準類もまだまだ未整備な状況ゆえに現状は非構造や工作物領域が先行していますが、適用箇所によっては柔軟性をもって技術適用が進められるように、産官学で連携して各プロジェクトに取り組んでいます。土木でも集水桝や縁石などの無筋構造物での採用がこれまでは主を占めていましたが、国土交通省管轄の規模が大きな擁壁やフーチング領域適用といった鉄筋コンクリート構造物も含んだ大型・重要構造物まで広がりを見せており、土木/建築ともに早急かつ柔軟なルール整備は非常に重要なテーマになってくるであろうと考えます。
──土木以外の領域では、本格採用されそうでしょうか。
大岡 土木での多種多様な事例は、確実に建築での本格採用への兆しを見せています。建築での3Dプリンタ技術適用は、単純な建築コストの話だけでなく、柔軟な意匠や構造の設計から、ライフスタイルや住環境への多様性も協議されている昨今では、建築物に対する考え方に対しても大きな影響を持ち始めると思います。土木業界のように小さなところの一歩からでも、やがては日本国を支える規模や構造まで成長していける技術ポテンシャルを秘めていると考えています。
Polyuseはこれまで多くの方々のご理解とご協力があり、公共工事を中心に国内最多の施工実績と裏付けされたデータを蓄積しています。今後は、より多くの方々と技術・データを共有していきたいと考えています。地域のゼネコンさまやプレキャストメーカーさまが3Dプリンタ技術を導入し、全国規模で連携を推し進めていければ、地域建設業のDX化は本格的に加速します。地域の建設業界はこれからも必要であり、当社の建設用3Dプリンタ技術がより安全かつ品質の高い施工を実現する一助となれるように、今後も尽力してまいります。
【長井雄一朗】
<COMPANY INFORMATION>
代 表:大岡航/岩本卓也
所在地:東京都港区浜松町2-2-15
設 立:2019年6月
資本金:1億円
URL:https://polyuse.xyz/月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
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