文科省が「デジタル」を正式教科書とすることを検討~21日の作業部会で論点提示
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文部科学省が、デジタル教科書を正式な教科書とし、現行の紙とデジタルのどちらを採用するのか、各教育委員会が判断する「選択制」の導入を検討しているという。実現した場合、紙の教科書ではなく、デジタル教科書のみで学ぶ児童生徒が出てくることになる。
デジタル教科書は紙の教科書と同じ内容をデジタル化し、1人1台の学習用タブレット端末で見ることができる。2024年度から国が主導し、小学5・6年と中学生全学年に英語のデジタル教科書、一部の小中学校において算数・数学のデジタル教科書が使用されている。このほかに、各学校の判断で国語や社会などでも使用されている。
デジタル教科書は、音声や動画などのデジタル教材と一体的に使用できることがメリットだ。現在、デジタル教科書の多くは、デジタル教材とのセット販売が多く、デジタル教科書単体での販売は少ない。
21日午後、文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会(中教審)のデジタル教科書推進ワーキンググループ(以下、作業部会)において、「デジタル教科書を代替教材から正式な教科書とする」「紙かデジタルかは各教育委員会が判断する」といった論点を提示する。作業部会の議論を踏まえ、文科省は中間報告をまとめる方針。
デジタルが正式な教科書となった場合、紙の教科書を使わず、デジタルのみでの学習が可能となる。教科書は、国が内容の正確性などの検定を行っており、義務教育では無償配布されている。
昨年9月に開催された作業部会の第1回会合で、委員の1人から「デジタル教科書のデータを扱うクラウドサーバーが被災すると、使用できなくなるのでは」と危惧する発言が出た。通信状態が不安定な場合や紛失や故障により利用できない場合も想定され、現場の教職員や文科省のなかにも慎重な意見があるようだ。
いずれにせよ教科書が伝統的な紙媒体のみではなくなることは大きな転換である。反対・慎重論も当然あるが、学力向上の観点からAI型ドリル教材を使用する学校も増えてきている。子どもたちの学び方が変わっていく以上、社会の在り方も変わらざるを得なくなることは間違いない。
【近藤将勝】
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