福岡県助成事業「ケア・トランポリン」めぐり前県議を収賄容疑で逮捕

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

 福岡県警は17日、手すり付きの1人用小型トランポリン「ケア・トランポリン」の普及を推進する事業の県予算案可決をめぐって便宜を図った見返りに、業者から約2,800万円を受け取ったなどとして、前県議の片岡誠二容疑者を収賄容疑で逮捕した。

 片岡容疑者は中間市議会議長などを経て2015年の県議選(中間市選挙区)に無所属で立候補し当選。その後、自民党県議団に所属。3期目を目指した23年の県議選で落選した。

 県警はケア・トランポリン販売業者(株)サンライフ(北九州市小倉北区)の代表取締役・鬼木義美容疑者も贈賄の容疑で逮捕した。

右から2番目が片岡元県議(片岡元県議のホームページより)
右から2番目が片岡元県議(片岡元県議のホームページより)

 ケア・トランポリンはマットに転落防止用の手すりが付いた運動器具で、福岡県内の一般社団法人が考案。高齢者の足腰の健康維持などに効果があるとされ、県は「ふくおか健康づくり県民運動」の一環として普及促進を行ってきた。

 19年度から市町村が開く運動教室の開催経費を全額補助し、北九州市や久留米市、田川市など40近い市町村でケア・トランポリンを使った運動教室が開催されている。19~23年度の5年間で、教室開催などで県が支出した補助金は3億8,554万円。

 考案した一般社団法人は「(一社)日本ケア・トランポリン協会」。鬼木容疑者の会社と同じ住所にあり、各自治体は協会を通じて同社のケア・トランポリンを購入あるいは借用していた。

 片岡容疑者は、県議時代、県スポーツ議員連盟の事務局長を務めており、20年9月には同僚議員向けにケア・トランポリンの体験教室を主催、多くの県議が参加していた。

 また20年10月の県議会決算特別委員会ではケア・トランポリンについて「福岡県として、全県下に広め、全国に発信し、元気な高齢者が生き生きと暮らす福岡県にしていくとともに、さまざまなスポーツ活動を推進していくことで県民生活を活力あるものとし、スポーツ立県福岡の実現を目指していただきたい」と要望するなど、たびたび県に対して働きかけを行っていた。

【近藤将勝】

関連キーワード

関連記事