飯塚エリア浮揚の契機となるか 新飯塚駅・飯塚駅ではマンション開発

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

公有地売却も含めて駅周辺で開発が活発化

 とはいえ現在、新飯塚駅および飯塚駅周辺の市中心部では、新たなマンション開発などが複数進行している。なかでも目立つのは、市役所周辺などの公有地を民間事業者に売却したうえで進められている開発だ。

 今年1月、飯塚市は、本庁舎第2駐車場の売却先をマンション開発・(株)シフトライフ(福岡市中央区)に決定したことを発表した。本庁舎第2駐車場は、飯塚市役所の南側、国道201号「市役所前」交差点に面しており、敷地面積は367坪。用途地域は商業地域、容積率は400%、建ぺい率は80%。選定委員会(一次審査および二次審査)は24年12月に行われており、売却予定最低価格は8,526万4,000円だった。プロポーザルには3者が参加し、シフトライフは700点満点中622点の評価を得て売却先に選定された(次点は469点)。シフトライフでは、「周辺のにぎわいや活力の維持・強化および生活利便性の向上などまちづくりに資する土地活用として、低層を店舗とする分譲マンション開発を計画している」という。計画が始動すれば、プロポーザルで取得した本庁舎第2駐車場は、同社による飯塚市内5棟目のマンションプロジェクトとなる。

 同社は昨年5月に竣工したばかりの「アメイズ飯塚ステーションレジデンス」(全48戸)、16年に竣工した「ネオス堀池 ザ・スクエア」(全55戸)、14年に竣工した「アメイズ片島リバーサイド」(全39戸)など、飯塚市内で多くの分譲マンション開発実績がある。

 また現在、26年4月の竣工予定で「アメイズ飯塚駅前プレミアム」(全36戸)の開発に着手している。RC造・地上13階建で、設計・監理はクラッチ一級建築士事務所、施工は(株)上田建築社がそれぞれ担当。間取りは2LDK~4LDKのワンフロア3戸で構成され、角住戸率は約67%。すべての住戸に奥行き2.5mのワイドバルコニーが設けられるほか、開放的なセンターオープンサッシを標準装備する。

 2月の分譲開始を目前に控えた1月末時点で、「すでに多くの反響をいただいています。アメイズ飯塚駅前プレミアムの最大の魅力は『駅前立地』ですが、JR飯塚駅は再整備が進められていることや、23年に開業した大型商業施設・ゆめタウン飯塚も徒歩圏ということで、早期完売も視野に入れております」(同社)と力強い。前述したようにJR飯塚駅では、26年度の全体完成予定で大型バスも旋回可能なロータリーやコインパーキングを備えた駅前広場の整備が進められており、駅舎のバリアフリー化なども計画。博多駅までは快速で40分程度と、福岡市内への電車通勤も現実的であるほか、八木山バイパスの4車線化で渋滞緩和が期待されることから、自動車通勤による所要時間も短縮される見通し。同マンションは飯塚駅まで徒歩2分で計画されており、立地次第では福岡都市圏の内部よりも短時間で福岡市内中心部へアクセスできるところを評価する声も多いのだという。

 飯塚市のプロポーザルでシフトライフが取得した「本庁舎第2駐車場」のすぐ南では、第一交通産業(株)(北九州市小倉北区、福証)が分譲マンション「アーバンパレス新飯塚」(全84戸)の開発を進めている。RC造・地上15階建で、設計・監理は(株)久保建築設計、施工は(株)赤尾組がそれぞれ担当し、25年6月下旬の竣工を予定している。同マンションは、「教育環境が良い」「駅に近い」といった立地および「販売価格」を評価する声が多く、すでに「9割以上が契約済み」(同社・1月末時点)だという。マンション管理はグループ会社の(株)ダイイチ合人社建物管理(北九州市小倉北区)が手がけ、可燃ごみなら玄関前に置くだけで回収される「ギャベッジサービス」も採用される。

 第一交通産業はこれまで、飯塚市内で2棟の分譲マンション供給実績がある。14年に竣工した「アーバンパレス新飯塚駅マークプレイス」(全91戸)、18年に竣工した「ザ・スカイタワー20新飯塚駅」(全71戸)で、いずれもJR新飯塚駅の東口側だ。これらに今回開発する「アーバンパレス新飯塚」を加えれば、新飯塚駅の東西で計250戸近くのマンション供給を行うこととなる。「販売の進捗は、過去の2棟を大幅に上回る勢い」(同社)だといい、前述の通りすでに9割超が契約済みということから、今年6月の竣工を待たず完売する可能性が高い。また、第一交通産業は、JR飯塚駅の近くでもマンション開発計画を進行。ゆめタウン開業や駅舎および駅前広場の再整備により注目されるエリアで敷地も広く、計画概要の公表に期待したい。

 ほかに前出の本庁舎第2駐車場から道を挟んですぐ南側の旧立岩交流センターの跡地では、公募型プロポーザル方式によって売却先が(株)コスモ(福岡市中央区)に決定。すでに旧建物の解体は完了しており、今後は新たに分譲マンションが開発される予定となっている。

 さらに飯塚市川津地区に位置する「旧二瀬交流センター」の跡地も現在、公募型プロポーザル方式によって売却されようとしている。同跡地は、約100mの距離にある飯塚市横田の市給食センター跡地へと新築・移転した「二瀬交流センター」の旧建物・土地で、面積は3,505.63m2で、地目は雑種地外。跡地の利活用については、地域住民の当該地再生に対する期待が大きいため、民間事業者などの創意工夫による意欲的な提案を受けて、当該地周辺のにぎわいや活力の維持・強化および生活利便性の向上など、まちづくりに資する土地活用を図っていきたい考え。25年3月7日までに応募申込書等を受け付け、6月上旬~中旬頃に売却先が決定する予定で、その後は民間事業者による新たな再開発が進むことになる。

 こうした公有地売却以外でも、駅周辺を中心とした新たな分譲マンションの動きがある。たとえば吉原町の飯塚バスターミナルから徒歩4分、JR新飯塚駅から徒歩13分の立地では、(株)NKトラスト(福岡市中央区)による「ルグラン飯塚中央リバーテラス」が開発された。RC造・地上14階建で、総戸数は50戸。設計・監理および施工は(株)安成工務店が担当し、24年7月に竣工した。

 堀池字鳥井のJR飯塚駅から徒歩7分の立地では、穴吹興産(株)(香川県高松市)による「アルファステイツ飯塚駅」の開発が進んでいる。RC造・地上10階建で、総戸数は63戸。設計監理は(有)アーキテクトラインが、施工は大末建設(株)がそれぞれ担当し、25年3月下旬の竣工を予定している。

 こうして市中心部の“駅チカ”で分譲マンションの開発が進む一方で、市内でもやや郊外エリアでは、「鳥羽池桜ヶ丘」(飯塚市有安、全55区画)や「サンヒルズ大日寺」(飯塚市大日寺、全21区画)、「グレースビュー伊岐須九工大前」(飯塚市伊岐須、全13区画)など、大手および地場の開発業者による分譲住宅地の開発も旺盛に行われている。

【坂田憲治】

ゆめタウン開業の影響

月刊まちづくりに記事を書きませんか?

福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。

記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。

企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。

ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)

関連記事