食肉加工業のヒロムラ（福津市）、個体識別番号表示なし販売で是正勧告

　11日、九州農政局は、食肉加工業の（有）ヒロムラ（福岡県福津市。以下、同社）が牛トレーサビリティ法に違反し、牛肉の個体識別番号を表示せずに販売・提供したとして、是正勧告を行った。

　違反が確認されたのは、同社が加工・販売した特定牛肉および同社運営の焼肉店「アロ・ハカタ」（古賀市）が提供した特定料理。特定牛肉とは、牛個体識別台帳に記録された牛から得られた枝肉や精肉などを指し、特定料理とは、焼き肉やしゃぶしゃぶ、ステーキなど牛肉を主材料とする料理を指す。

　九州農政局によると、同社は少なくとも23年7月1日～24年2月29日の間、自社が加工した特定牛肉4,098.7kgを個体識別番号を表示せずに小売業者などへ販売していた。また23年8月29日～24年1月16日の間、一般消費者へも1,132kgを同様に販売した。

　さらにアロ・ハカタでは、同期間に特定料理「アロ・ハカタ焼肉」をはじめとする20品目で、個体識別番号の表示を行わず、計2,181kgの特定牛肉を客に提供した。

　牛トレーサビリティ法は生産から消費までの履歴情報を消費者に適切に伝える義務を定めており、今回発覚した行為はこれに違反するとして、同局は同社に対して以下の内容の勧告を出した。

　まず、現時点で保持する特定牛肉の個体識別番号表示の点検と、表示が不適切なものの早急な是正を求めた。また、違反の原因として意識・法令順守への認識不足や商品管理体制の不備を挙げ、これらの徹底的な分析と改善を指示した。さらに再発防止策として、表示に関する責任の明確化と管理体制・商品管理システムの整備、全役員・従業員へのトレーサビリティ制度の啓発教育を求めた。

【寺村朋輝】