【インタビュー】地域の方々に「身近で寄り添う存在」でありたい~吉岡福岡県議(福岡市西区・立憲民主党)

 3月23日、福岡県議会議員補欠選挙が投開票され、福岡市西区選挙区では元県議会議員秘書の吉岡玲子氏が自民推薦の元職を破り、初当選をはたした。同区の中心地である姪浜や九州大学がある元岡地区、北崎地区は福岡市のなかでも農業が盛んな地域である。また、玄界灘に面して能古島などがあり、多くの史跡があるほか、伝統芸能も盛んという多様な面がある。吉岡氏に県議として今後のビジョンや取り組みたい課題について話を聞いた。

支えあう社会を実現したい

服部知事と吉岡県議
服部知事と吉岡県議

    ──今回の選挙戦を受けての思いをお聞かせください。

 吉岡玲子氏(以下、吉岡) 今回、仁戸田元氣県議の後継として立候補させていただき、自民党系候補との一対一の戦いとなりましたが、おかげさまで2万7,552票をいただくことができ、責任の重さを受け止めております。

 ──政治の世界は敷居が高いと思いますが、政治の道に進もうと志されたきっかけは。

 吉岡 最初のきっかけは約10年前に選挙スタッフとして関わらせていただいたことがきっかけでした。そのころから、少しずつ政治に対して距離が縮まって、ご縁をいただき秘書として務めさせていただくなかで政治がぐっと身近なものになりました。

 今回の選挙では地域の皆様、とくに女性の方から多くの激励をいただき、そうした声を県に届けていく役割をはたしてまいりたいと思います。地域の方々に寄り添った「身近な存在」でありたいと思います。

 ──選挙戦で訴えられた政策はどのようなものでしょうか。

 吉岡 2人の息子を育ててきて、幼稚園教諭も経験し、地元の企業で働いてきましたが、育児と仕事の両立は、すごく大変でした。頼れるところもあまりなくて、心細い思いをしましたが、そうした思いを「若い子育て世代にしてほしくない」と社会に対する問題意識をもつようになり、個人や家庭に負担をかけるのではない「支えあう社会」が必要じゃないかと実感しました。努力しても限界があって、そのしわ寄せが子どもに向いてしまいます。自助努力に任せきりにしない「支えあう社会」の実現を一番に訴えてまいりました。

多様性を認め合える社会の実現

 ──県議会議員として取り組んでいく課題は。

 吉岡 一番に取り組みたいのは、物価高対策です。生活必需品の食料品やトイレットペーパーなどが値上がりしています。年金生活者の方々の「生活が大変です」との多くの声をいただきました。知人からも「まとめ買いして安心しました」との連絡をいただくことなどがあり、物価高対策はぜひやってほしいとの声が寄せられています。国が取り組むべき政策ではありますが、県としてもやれることはあると思います。

 それから子育て・教育と人権問題に強い関心をもっています。人権は人が生きていくうえで最も重要な課題と改めて思います。立憲民主党は「あらゆる差別が解消され、誰もが自分らしく生きられる共生社会の実現」「多様性を認め合える社会」を掲げており、さまざまな人権課題について、勉強会などでしっかり学びながら、県議として先頭に立つ勢いで教育・人権問題に取り組んでまいりたいと思います。

 また地域の皆さんにとって安心安全を求めるご相談を受けています。地域の安全の核となる交番は不可欠ですが、多くの業務を抱えています。新設するためには、どのような条件が必要なのか問い合わせ、地域の現状に対応した交番新設を求めていきたいと思います。

 介護や医療についても、50代後半の現役世代の方がご両親の介護で離職せざるを得ないという話もあり、痛ましい事件などが起きないよう介護や医療サービスを届けられるよう取り組みたいと思います。

 西区は都市部もあり、農業地域や水産業が盛んな地域もあるなど多様な地域性をもっており、福岡の縮図ともいわれています。西区で解決できることは「県全体の問題を解決する」ことにつながるとも思います。

女性議員のつながりで県政を前進させたい

 ──女性の働き方、社会進出については

 吉岡 身近なところでも男性が昇進しても、女性は進まないといったことがあり、いくら頑張っても役職に就けないことがあり、「能力を適正に評価してくれる会社に転職しました」という女性の声がありました。昇給に関しても女性は男性より緩やかで、まだまだ男性女性という性差での評価があるように感じており、私自身も会社員のとき、それを経験しました。 

 福岡県議会は、今回の補欠選挙で女性県議が15人になりましたので、女性議員の皆さんとも意見を交換しながら、少しでも政策が前に進むように取り組みたいと思います。

 3月8日に国際女性デーのパレードに参加させていただきました。ソラリア前やパルコ前などいくつかのチームに分かれて活動しましたが、各自治体の女性議員や女性の人権運動に取り組まれている方々とお会いして、そこでネットワークができることがすごくうれしかったです。そこでのつながりが今後の活動にも生かせると思います。

 今の20代の方々は、物価高などで経済的な負担も大きいこともあって私たちの頃と違って結婚・子育てでなく自己投資に向いています。結婚や子育てという選択肢がなく、子どもを産むことが「大変だよね、お金かかるよね」となっています。

 「働きながら2人の子どもを育てた吉岡さんはすごい」と言われることがありました。全然すごいことだと思っていなかったのですが、「(20代の方々から)子どもは欲しい」という声もあり、本当に考えさせられます。

 ──今後の抱負をお願いします。

 吉岡 皆さまのさまざまな思いを受け止めて西区と福岡県民の皆さまのためにしっかりと働いてまいりたいと思います。

【近藤将勝】


<プロフィール>
吉岡玲子
(よしおか・れいこ)
1976年島根県出雲市生まれ。山口短期大学児童教育学科卒業、(学)麻生文教学園・西陵幼稚園で幼稚園教諭、(株)西商などを経て、前福岡県議会議員・仁戸田元氣氏の秘書を務める。25年3月23日投開票の福岡県議会議員補欠選挙に立憲民主党公認で立候補し初当選。民主県政県議団。所属委員会は警察委員会・スポーツ立県調査特別委員会。

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