東京都議選・小池知事与党で過半数に 一方で国民・立憲・参政党が躍進

 22日に投開票が行われた東京都議会議員選挙は、自民党が第1党から陥落するなど、大きな転換点となった。小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」は31議席を獲得し、都議会第1党となった。

公明の9回連続全員当選ならず

 自民党は過去最低の議席数となり、第1党を維持できなかった。無所属で立候補して当選した3人を追加公認したものの、21議席にとどまった。都議会においても裏金問題や物価高の影響が大きかったとみられる。

 公明党は、22人が立候補したが、大田区選挙区で擁立した2人がともに落選。1993年の都議選以来、8回連続で立候補者全員が当選してきたが、今回は19議席と全員当選を果たせなかった。

 一方、国民民主党、立憲民主党、参政党は躍進し、手応えを得た選挙となった。国民は2021年の前回選で立候補した4人全員が落選していたが、今回は減税路線などを掲げ伸長した党勢を背景に18人を擁立。固定資産税の軽減などを訴え、9議席を獲得した。

 立憲は告示前から5議席伸ばし、17議席を獲得し、都議会における野党第1党となった。立憲は今回、共産党などと1人~3人の選挙区で候補者調整を実施。昨年7月の都知事選でも共産党と事実上の「野党共闘」をしており、支持団体の連合東京との間に距離感がある。連合よりも共産党との共闘を重視する姿勢は、福岡など他地域とは異なる、東京特有の傾向だといえる。参院選でも「東京方式」の選挙区調整が進むかどうか注目される。

 参政党は、都議選で3区1市に4人を擁立し、このうち3人が当選した。同党は、都内で宿泊する外国人旅行者から1泊あたり1,000円を徴収する「インバウンド料金」導入などを公約に掲げたことが特徴で、「日本人ファースト」の考え方が支持されたとみられる。

れいわや維新は議席獲得できず

 国民・立憲・参政の3党が躍進した一方で、議席獲得ができなかった党派もあった。注目された石丸伸二・前広島県安芸高田市長が代表を務める地域政党「再生の道」は自民と同数の42人を擁立したが、全候補者が落選した。れいわ新選組は、都議会で初の議席獲得を目指し、世田谷区などで3人を擁立したが、全員落選。日本維新の会も現職1人を含む6人を擁立したが、いずれも落選し、議席を失った。

 野党第1党の座を立憲に譲る結果となった共産党は、今回は24人の候補を擁立。改選前の19議席の維持には至らなかったものの、注目すべき点もある。それは女性当選者の数である。女性の当選総数は48人で、21年の前回選から7人増え、過去最多となった。政党別では共産党が13人で最多。次いで、都民ファーストの会が12人、公明党が6人、立憲民主党が4人などとなった。

自民党内で広がる危機感

 今回の都議選は、7月に控える参院選直前の地方選として、今後の政局への影響を含め注目された。木原誠二選挙対策委員長ら自民党幹部は、参院選への影響について「基本的には、都議会議員選も地方選挙。直接の影響というものはない」と述べているが、多くの自民党所属の国会議員や地方議員は、そのようには受け止めていないようだ。

 自民党福岡県連は23日午前に執行部会を開催し、松本国寛県連会長は「自由民主党にとって極めて厳しい結果となった」と述べるなど、都議選の結果に強い危機感をあらわにした。

 東京に隣接する埼玉県議会の鈴木正人県議会議員(自民党)は、自身のX(旧・Twitter)で都議選に言及し、「不記載の問題もあるのでしょうけど、国民は物価高で苦しんでいるのに公党間の約束も守らない、財務省よりで絶対に減税はしないなど、負けるべくして負けているのは明らか」と、自民党執行部を批判する投稿を行った。
https://x.com/suzu056/status/1936914717249032319

 東京都議選はあくまでも地方選との見方もあるが、首都・東京での選挙結果は全国へ波及する可能性が高い。参院選が迫るなか、「このままでは自民は負ける」との声が広がることは間違いない。

【近藤将勝】

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