司法書士の働き方の未来を見つめて進化を続ける法的インフラ企業

みつ葉グループ

みつ葉グループ

 みつ葉グループは、司法書士・土地家屋調査士・行政書士の各法人に加え、専門職コンサルティングを担う株式会社で構成された、総合士業グループだ。2025年4月には、時間にとらわれない柔軟な働き方を制度化するとともに、役職にかかわらず、スキルや成果に応じて評価するシステムを導入。AI時代においても人間にしかできない仕事に焦点を当て、司法書士の役割を再定義しようとする同社の姿勢は、法務サービスの未来像を提示する。

急成長を支える組織改革と戦略

 みつ葉グループは、司法書士・土地家屋調査士・行政書士などの専門家が連携し、幅広いサービスを展開している。拠点は東京、福岡をはじめ、札幌、名古屋、大阪、広島、沖縄と全国に広がっており、2025年4月には仙台にも新オフィスを開設した。

 急成長を続ける同社の24年度の売上は40億円を記録し、25年度は約45億円の売上を見込んでいる。この急成長を支えるのは、単なる業績の拡大にとどまらない先進的な組織戦略と、司法書士の働き方の未来を常に先取りする経営戦略にある。

働きやすさと
組織全体の生産性を高める

 同社は今年4月、社員の働き方とキャリア形成に関する2つの制度をスタートした。

 1つはフレックスタイム制度だ。司法書士業務は一般的に時間的拘束が強い労働集約型の仕事とされるが、同社ではコアタイムを設けず、午前8時〜午後9時の間で1日4時間以上勤務すればよいという柔軟な制度を実現している。この制度は、社員の働きやすさを高めることに加え、「いつ・どこで働けばチームとして最も成果を出せるか」という視点を全員がもつことで、組織全体の生産性を向上させることを目的としている。

 もう1つは「選択型人事制度」である。「キャリア=役職」という固定観念にとらわれず、役職を“組織を動かすための役割”と位置づけ、社員1人ひとりが自らの志向や価値観に応じて、どのように組織に貢献し、どんなかたちで成長していきたいかを主体的に選び取れるように設けられた制度だ。

 制度は選択できる2つのキャリアパスを用意している。マネジメント職は、組織を統括しマネジメントを担う役割(例:チーフ、リーダー、マネージャー)として、また、メンバー職は専門的なスキルによって組織に価値を提供する役割として、それぞれキャリアを積むことができる。これにより、マネジメントを志向しない社員だけでなく、ライフステージや働き方に応じて実務に専念したい社員も、スキルを通じて組織への貢献が正当に評価され、継続的に成長できる環境が整えられている。実際に社員からは、「現場でプレイヤーとして専門性を磨いていきたいという人にとって、その道が明確になったのはやりやすい」という声が挙がっている。

AIと共存する専門職の未来像

 こうした制度導入を可能にしているのは、業務の可視化と平準化、そしてDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による共通システムの導入である。属人的なスキルに頼らずに業務を回せる体制を整え、誰かが不在でもチームで対応できる運用モデルを構築した。また、DXを導入するにあたって代表の宮城誠氏は、その目的を社内にメッセージとして発信し、「業績向上と顧客満足度向上のための戦略」として全社員に共有した。単なる効率化だけにとどまらず、社員がより働きやすく、顧客により良いサービスを提供することを重視した業務設計の方向性がここにも表れている。

みつ葉グループ 代表 宮城誠 氏
みつ葉グループ 代表 宮城誠 氏

    DXとともにAIの進化が仕事に与える影響も大きなテーマだ。宮城氏は、AIが得意な分野はAIに任せることによって、司法書士という専門的な業務において必要とされる人間の役割をより高度で戦略的なものへシフトしていくチャンスだと考えている。たとえ事務作業の多くがAIに代替されるようになったとしても、顧客との信頼関係の構築や意思決定支援など、人間にしかできない対人業務が残される。それは何よりも人間力が求められる分野となる。宮城氏は、司法書士の仕事を有資格業務という枠にとどめず、人と人との信頼関係に根ざした業務であると定義している。

 AIを活用することで、書類作成などの定型業務を効率化し、人にしかできない対話や信頼構築といった本質的な対人業務に、より人的リソースを集中できる体制をつくっていくことが、これからの司法書士のあるべき姿だと語る。

法的インフラ企業として
さらなる進化の段階へ

 今年4月には、同社に6名の新卒者が入社。26年卒に向けても5名程度の採用を予定しており、着実に若手人材の育成に注力している。採用活動の一環として実施している会社説明会では、学生が気軽に質問しやすい環境づくりを重視し、少人数制かつオンライン形式での開催を行っている。

 さらに、社員と直接対話できる座談会の場も設けており、参加者からは「実際に働くイメージが湧いた」「質問がしやすかった」といった声が寄せられるなど、高い満足度を得ている。

 同社は、「法的インフラ企業」というミッションを掲げ、AIとデジタル技術を最大限に活用しながら、働き方・キャリア形成・組織構造そのものを変革してきた。社員と顧客の双方に新しい価値を提供し続ける企業として、これからも進化を続けていく。

【寺村朋輝】


<COMPANY INFORMATION>
みつ葉グループ

代 表:宮城誠
東京オフィス:東京都港区虎ノ門5-12-11
       NCOメトロ神谷町4F・5F
福岡オフィス:福岡市中央区天神1-10-20
       天神ビジネスセンター9F
TEL:0120ー56ー9911
URL:https://mitsubagroup.co.jp

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