旧統一教会・九州宗教者有識者シンポを開催~教団会長への取材を拒否

国の解散命令を強く批判

 旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の信徒らでつくる「基本的人権・信教の自由を守る福岡県民の会」は15日、福岡市内で「公平・公正な裁判を求める九州有識者・宗教者シンポジウム」とデモ行進を行った。約800人(主催者発表)が参加した。

 今回の集会とデモは、東京地裁が3月25日に宗教法人法に基づく解散を命じる決定を行ったことに抗議し、公正・公平な裁判を求める趣旨で行われた。集会はYouTubeでも同時配信された。

世界平和女性連合について語る中山弁護士
世界平和女性連合について語る中山弁護士

 シンポジウムは、有識者の意見書をまとめた書籍『家庭連合の「解散命令」に異議あり』(グッドタイム出版)を編纂した国際弁護士の中山達樹弁護士、月刊Hanadaで、旧統一教会問題報道や国の教団に対する姿勢を追及しているノンフィクション作家の福田ますみ氏、教団との断絶決議に異議を唱える北九州市議の井上真吾氏、世界平和統一家庭連合の田中富広会長なども登壇した。

 中山氏は、教団の関連団体「世界平和女性連合」のアフリカでの活動を視察したことなどを紹介し、「全然日本で評価されていないのはおかしい」と語った。さらに国が解散命令を出すにあたり、非公開の非訟裁判で進められたことや、高裁の審理も非公開であることを批判。「60年間刑事事件はゼロで、この10年刑事はおろか民事でも裁判所が不法行為を認定していない」として、教団側に問題はないと主張した。

 福田氏は解散命令について「非常に厳しい。国・政府・司法が家庭連合(旧・統一教会)を解散させるという強い意志がある」と指摘したうえで「全国弁連(全国霊感商法対策弁護士連絡会)が結託していて、裁判官も予断と偏見にとらわれている。悪だからつぶしてしまえというポピュリズムで共産主義の人民裁判のようなひどい状況」と教団に対する国の姿勢を批判した。

シンポジウムで語る田中富広会長
シンポジウムで語る田中富広会長

 田中氏は「安倍元首相の暗殺から3年が過ぎましたが、私たちはあることに明確に気づきました。祖国日本が内外の共産主義思想によって確実にむしばまれてきている」と述べ、教団は共産主義勢力と戦ってきたとしたうえで「この戦いをやめるつもりはない。この取り組みが、どこが反日でしょうか」と訴えた。

 シンポジウム後、現役の2世信徒のスピーチが行われ、閉会挨拶が行われた。

教団の主張との矛盾

 集会後、教団の田中会長などが、報道機関の取材に応じたが、控室に向かったところ「実行委員の総意で入場はご遠慮願いたい」と記者の直接取材を拒否された。主催者から明確な拒否理由が示されなかったが、共同通信社などの記者の取材には応じていた。

 「これまでの記事で教団側の主張も取り上げてきた。教団に批判的な報道機関やジャーナリストに対する不当な扱いではないか」と抗議したが、聞き入れられなかった。教団側は、国の解散命令や福岡市や下関市の公共施設利用不許可などを批判しているが、不当な取材規制を行うことはこれと矛盾していないだろうか。

 教団は社会に対して国の解散命令やメディア報道を批判する以上、立場や考え方の相違はあるにしても、組織内外のさまざまな意見に真摯に対応し、情報公開を行う姿勢が求められる。

【近藤将勝】

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