「総理大臣になれなかった男」玉木雄一郎代表の評価急落

 「総理大臣になれなかった男」と揶揄されるようになった玉木雄一郎・国民民主党代表の評価が急落している。優柔不断で言い訳ばかりして即断即決しないことを意味する“玉木る”という造語がネット上で拡散。読売新聞の世論調査によると、同党の支持率は9%から5%へとほぼ半減し、他の報道機関の結果も同様の下落傾向となった。

玉木雄一郎・国民民主党代表
玉木雄一郎・国民民主党代表

    私の目にも、今夏の参院選で衆院だけではなく、参院でも与党過半数割れとなり、政権交代(野党連立政権誕生)の可能性がさらに高まっていたのに、その絶好のチャンスをつかもうとしない玉木代表の言動は理解不能だった。9月26日に長野駅前で街頭演説を予定していた玉木代表を直撃。「野田さんと話して野党連立政権を目指さないのか。立民は、玉木代表が総理の説も否定していない。(玉木代表が)野党統一候補になって玉木代表が総理になって、玉木政権もあり得るという話ではないか」と声掛け質問をしたが、玉木代表は「維新が自公政権入りしたら無理だろう。維新が自公と連立、やる気満々だから」と否定的な回答。

 そこで「維新も説得して一緒に政権交代をしようと(呼びかけないのか)」とも聞いたが、玉木代表は「(維新は)連立まっしぐらではないか」と自ら首班指名選挙での野党統一候補に名乗り出て、総理になろうとする意気込みは皆無に等しかった。

 国民民主党の口癖である「政策実現」「対決より解決」を達成するには、総理になって政策実現(課題解決)をすればいいのに、玉木代表は「基本政策の不一致」など、できない理由を並べて即断即決しない間に、高市総裁に先を越されて総理ポストを奪取された。ワイドショーなどでも「高市総理か玉木総理か」で注目されていたなか、俊敏で熱意ある高市総裁が愚図で冷めた玉木代表を一気に抜き去ったことで首班指名選挙の決着はついたのだ。

 客観情勢としては、玉木総理誕生の追い風は吹いていた。10月10日に公明党が連立離脱を表明したことで、首班指名選挙で高市氏が選ばれない可能性が一気に高まった。しかも立憲民主党が、野田代表だけでなく、玉木代表も野党統一候補になり得ると表明していた。

 しかし玉木代表は、三党代表面談や記者会見などで、外交安保やエネルギー政策などの基本政策の違いを理由に、首班指名選挙での野党統一候補になることへの慎重姿勢を崩さなかったのだ。

 首班指名選挙での政権交代実現に動いていた立民の安住幹事長に対して10月14日の会見で、「国民民主党は政策実現を強調しているが、政策実現をするなら政権を交代して(総理は)玉木代表も選択肢だと思うが、それで政策実現をするのが一番の近道だと思うが」と私が聞くと、こんな答えが返ってきた。

「横田さん、ぜひそれ、玉木に言ってください。玉木代表はいろいろお考えになっているだろう。私も言いますが、やはり日本の政治を変えるのは政権交代だと思うのです。自民党を補完して助けたって、自民党の政治が続くだけですから。ここは大きなチャンスですから」

 しかし国民民主党は、同日(10月14日)の三党幹事長面談でも翌15日の三党代表面談でも基本政策の違いを理由に合意に至らず、その間隙を縫うように維新と自民が急接近、15日に吉村氏と高市氏が電撃面談をしたのを皮切りに政策協議も翌16日から開始、一気に自維連立の合意にまで至ったのだ。

 一連の経過を振り返ると、政権交代の絶好のチャンスを逃して政治とカネに甘い自民政権延命をアシストした“A級戦犯”は、玉木代表としか言いようがない。いろいろとできない理由を並べて即断即決しなかったが、「野党連立政権の基本政策は当面は石破政権を継承する一方で、政治とカネの規制強化やガソリン税減税などの緊急課題を実現(解決)する」という現実的選択肢もあったからだ。

 「野党のふりして与党にすり寄る“ゆ党”志向か」「結局、政策実現より立民への嫌悪感優先ではないか」といった疑念が、玉木代表率いる国民民主党に芽生えて支持率半減につながったに違いない。今後、真っ当な野党に軌道修正するのか否かが注目される。

【ジャーナリスト/横田一】

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