原口一博氏と減税日本による「ゆうこく連合」の行方は

 27日に衆院選の公示が迫るなか、各党・各議員は選挙準備を急いでいる。そうしたなか、総務省は25日、原口一博前衆議院議員と河村たかし前衆議院議員らが新党「減税日本・ゆうこく連合」を政党として届け出たことを発表した。

会見に保守派人士が同席

 24日午後、原口氏と河村氏の記者会見が、原口氏の議員会館の事務所で行われた。両氏は新党の「共同代表」に就くほか、メンバーには減税日本の竹上裕子氏、平岩征樹氏、参政党を離党した鈴木敦氏を合わせて5人で、政党要件を満たしていた。しかし、鈴木氏が不出馬を表明したため、4人でのスタートとなった。

 原口氏のゆうこく連合での活動は、氏が立憲の議員の時から注目していた。陰謀論とも批判されるが、コロナワクチンの薬害や対米自立・グローバリズム批判、消費減税を主張するなど、自民党や立憲など既存政党が正面から扱いにくい主張を訴え、国会内での勉強会には立憲を中心に原口氏と親交のある議員が参加していた。

 なお、立憲の元参議院議員で、東京HIV訴訟(薬害エイズ事件)原告としても知られる川田龍平氏も新党から衆院千葉7区に立候補するという。

 「日本独立」を掲げる原口氏の主張には党派を超えて多くの人が賛同していたが、ゆうこく連合を結成したあたりからは、どちらかといえば右寄りの人が集まってきていたように思う。20日に議員会館で原口氏が行った会見には、日本文化チャンネル桜代表の水島総氏、WHOから命を守る国民運動の林千勝氏、日本誠真会の吉野敏明党首などが同席。リベラル系の支持者や立憲の他の議員は衝撃を受けたことだろう。

 立憲の地方議員は「普通に言って聞く方なら党(立憲)の人も苦労はしていなかったと思います」と述べ、「デマをまき散らして多くの人に迷惑をかけています」と原口氏を批判していた。

 チャンネル桜は保守系動画サイト運営会社で、以前は桜の番組や活動で安倍晋三元首相を熱烈に支持していた。ある時期から自民党と距離を置き、日本会議の憲法改正運動を批判するなど路線転換を行ったが、依然として保守色が強く、立憲支持層のリベラル派とは相いれない。林氏は桜の番組に出演しているが、著書でロックフェラー(国際金融資本)やコミンテルン(国際共産主義運動)などが日本を太平洋戦争に追い込んだという陰謀説を論じている。

 そうした国際政治の裏側についてさまざまな見方、考え方もあるだろう。政治が自然に動くと考える方こそ、平和ボケしたお人よしの発想だと思うが、政局の場においては、政治運動とは距離をとるべきではないか。少なからず多くの人が疑問を持ったに違いない。

理念で集まった政党の脆さ

 原口氏は中道への合流を拒否したが、ゆうこく連合が国政要件を満たした新党になるのかどうか、中道改革連合発足が決まってから数日、原口氏が発信する動画やSNSにおいて焦燥感が強く滲んでいた。

紆余曲折を経て、日本保守党を離党した、かつて新進党・民主党時代を共にした河村たかし氏らとの合流話が進んだ。原口・河村両氏は旧民主党右派であった。河村氏は名古屋市長時代、「南京大虐殺はなかった」と発言するなど歴史認識で物議を呼んだ。

 「ラーメン屋のおやじが喜ぶ政治をやらないかん」と河村氏は会見で述べていたが、おそらく「ラーメン屋のおやじ」とは草の根保守層を意味する表現だろう。

 佐賀1区は前回選(24年10月)など直近4回の衆院選で原口氏が議席を得ている。今回の選挙情勢でも自民党候補より優勢が伝えられている。河村氏も愛知1区で前回選は日本保守党公認で立候補し、9万5,613票を得て立憲・自民らの候補を圧倒した。

 選挙の勝ち負けは時の運もあるが、問題は当選後である。政治はイデオロギーばかりではない。消費減税も訴えていくというが、九州が地盤の原口氏と、名古屋を中心に東海地方を基盤とする河村氏とでは、考え方の隔たりも出てくるだろう。

 保守の参政党や日本保守党も、内部対立でたびたび見苦しい争いが露見している。河村氏は会見で「(新党を)何としてもつくりたかった。国政政党かどうかで比例に出られるかが決まる。党を広げるうえでは雲泥の差がある」と述べているが、思想や理念で集まった政党は、かつての次世代の党などのように内部での意見対立が生じた場合、崩壊するのも早い。いずれ同床異夢ということになるのではないだろうか。

【近藤将勝】

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