【BIS論壇】グローバルサウス

 NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
 今回は5月13日の記事を紹介する。

 第2期米国トランプ大統領の就任以来、1年4カ月。本年初頭のベネズエラ侵攻、大統領拘束。イスラエルと組んだイラン攻撃。キューバ侵攻の脅迫、パナマ、グリーンランド併合発言など、世界は混乱の度を深めている。  

  スペイン首相、イタリア首相などはトランプ大統領に対し是々非々で批判発言を繰り返している。だが、わが高市首相はトランプに迎合。イラン問題に関しても批判は一切避けている。外務省関係者の米国べったりのせいだろう。

 本日5月13日より15日まで、トランプ大統領は国賓として中国を訪問する。その動向を十二分にWatchすることが肝心だ。

米中関係イメージ    トランプ大統領のこれまでの高関税政策や、軍事力発動の脅しなどあり、発展途上国のグローバルサウスは独自の行動を強めている。

 5月8日、東南アジア諸国連合(ASEAN)は今年の議長国フィリピンの中部セブで首脳会議を開催。「中東危機に関する首脳声明」「ASEAN海洋センター」設立に関する「海洋首脳宣言」の主要文書を採択。 中東危機への結束強化を強調した。

 中東危機に対応し、平和航行維持のため、「海洋センター」設立の重要性を強調。フィリピンに同センターを設立する方向で検討されることになった。

 一方、「中東危機はASEAN各国民を危険にさらす状況下、ASEANの結束と中心性が最も重要」と宣言。

  不安定な外部市場への依存度を減らすため、ASEAN加盟国間で電力網を接続し、国境を越えた電力取引を可能とする仕組みの構築。再生可能エネルギーおよび原子力を含む代替エネルギーの促進もASEANとして力を入れると表明。

 ASEANは7月に外相会議のほか日・米・中・露・韓など26カ国と欧州連合(EU)が参加するASEAN地域フォーラム(ARF)開催も予定している。ARFは北朝鮮が参加するアジア太平洋地域で唯一の安全保障に関する多国間枠組みで、その成果が期待されている。

 一方、グローバルサウスでは南米3億人共同市場(MERCOSUR) が動き出し、南米の有力国、ブラジルへの接近が勢いを増している。EUは19年にMERCOSURとのFTAに大筋合意。26年5月に暫定発効予定だ。英国は25年、カナダは18年に交渉開始。日本政府も今夏にEPA交渉を目指している。日本が最大の移民を送り出しているブラジルを中心に南米とのEPA(Economic Partnership  Agreement)締結に尽力することを期待する次第だ。


<プロフィール>
中川十郎(なかがわ・ じゅうろう)

 鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)。

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