12日、公正取引委員会と内閣府沖縄総合事務局は一般貨物運送事業などを手がける琉球倉庫運輸(株)(那覇市、新垣学代表)に対し、下請代金の不当減額があったとして、改正前の下請法に基づく勧告を行った。
公取委によると、同社は荷主から請け負った貨物運送業務の全部または一部を、16名の下請事業者へ再委託していた。運送委託契約では、下請代金(運賃等)は「基本運賃表」に基づいて算定することで合意していたにもかかわらず、実際にはこれを使用せず、自社が荷主から受け取る代金に一定率を乗じて算出した額を支払っていた。
その結果、2024年1月から25年11月までの間、下請事業者16名に対し、本来支払うべき額から総額3,777万6,571円を減額していたと認定された。
同社は26年3月27日までに、減額分を下請事業者へ支払ったとしている。
「荷主連動型」の支払いが問題化
今回の事案では、荷主からの受注価格に連動して下請運賃を決める運用が問題視された。公取委は、契約上定めた基本運賃表による額を一方的に下回る支払いは、「下請事業者の責めに帰すべき理由がない下請代金の減額」に該当すると判断した。
下請法では、値引きや協賛金、歩引きなど名目を問わず、発注時に定めた金額から一方的に減額することを禁止している。たとえ下請側との合意があった場合でも違法となる。
物流業界に広がる「運賃転嫁」の歪み
背景には、物流業界で長年続いてきた多重下請構造と、荷主優位の価格決定構造があるとみられる。とくに沖縄では、本土との海上輸送を含む特殊な物流事情もあり、元請と下請の力関係が固定化しやすいという業界状況もある。
近年は「2024年問題」を契機に、ドライバー不足や運送コスト上昇への対応として、運賃適正化が国策レベルで求められている。一方で、実務現場では、荷主からの受注単価を基準に協力会社への支払額を調整する慣行が根強く残っているケースも少なくない。
下請法は26年1月の改正で「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)」へ改称され、物流分野も含めた価格転嫁・取引適正化の監視強化が進んでいる。今回の勧告は、物流業界における「下請へのしわ寄せ」に対する監視強化を象徴する事案といえる。
【寺村朋輝】








