マンション大規模修繕談合疑い、東海地方にも拡大

東海3県で20数社に立ち入り

 マンションの大規模修繕工事をめぐる談合疑惑が、東海地方にも広がっている。

 28日、公正取引委員会は愛知、岐阜、三重の3県に所在するマンションの大規模修繕工事で談合を繰り返した独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いがあるとして、施工会社と設計コンサルタント計20数社に立ち入り検査を行った。

 立ち入りを受けたとされているのは、浅沼組、長谷工リフォーム、建装工業、大京穴吹建設、日本ハウズイング、シンヨー、ユニホー、オチアイ、マルコオ・ポーロ化工、カシワバラ・コーポレーションなどと、設計コンサルタント会社「T.D.S」(東京都中央区)など。

 各社は遅くとも数年前から、東海3県のマンション大規模修繕工事について、見積もり合わせや入札の際に、事前に受注予定業者や工事価格を調整していた疑いがもたれており、外壁、内装、防水など、マンションの維持管理に欠かせない工事が対象になっていたとみられる。

関東調査から東海へ拡大

 6月には公取委が施工会社36社、設計コンサル2社の計38社に排除措置命令を出す方針を固め、施工会社には計約16億円の課徴金納付命令も出される見通しであることを報じた。『マンション大規模修繕談合疑い、公取委が処分方針 都甲栄充氏が指摘してきた「住民不在」の構図

 今回の東海地方での立ち入り検査は、関東地方の調査過程で同様の疑いが浮上したもので、仮に同じ構図が複数地域で確認されれば、マンション大規模修繕工事の談合疑惑は、特定地域の一部業者による問題ではなく、業界全体の商慣行に関わる問題として捉え直す必要が出てくる。

今回も焦点は設計コンサルの関与

 今回の問題でも取り沙汰されているのは、施工会社だけでなく、設計コンサルタントが関与している疑いだ。

 マンションの大規模修繕工事では、管理組合が専門知識を十分にもたないことが多い。そのため、工事内容の設計、見積もりの妥当性確認、施工会社の選定、工事監理などを外部の設計コンサルに委ねる「設計監理方式」が採用されることがある。

 本来、設計コンサルは管理組合側に立ち、施工会社との情報格差を埋める役割を担う。ところが、今回の東海地方の事案でも、設計コンサルが受注調整に関与し、施工会社に修繕工事関連の情報を提供したり、受注業者から見返りを受け取ったりしていた疑いがあるという。

 関東地方の事案でも、設計コンサルが施工会社からバックマージンを受け取っていた疑いが浮上していた。当社既報では、仮に1億円の工事で5%のバックマージンが発生すれば500万円、3億円なら1,500万円となり、施工会社がその費用を工事費に織り込んでいた場合、最終的な負担者は管理組合であり、区分所有者である住民になると指摘した。

 設計コンサルが「住民の味方」であるという前提が崩れれば、管理組合は誰を信頼すればよいのか。今回の疑惑は、マンション修繕市場における利益相反の危うさを改めて浮き彫りにしている。

都甲氏が指摘してきた「住民不在」

 当社はこれまで、一級建築士でAMT一級建築士事務所代表の都甲栄充氏による記事を通じて、建築や修繕の専門知識をもたないマンション住民や管理組合を食い物にする、事業者の実態を詳細に明らかにしてきた。今回の東海地方への疑惑拡大は、都甲氏が繰り返し指摘してきた「住民不在」の構図が、全国的な問題として改めて問われていることを示している。ぜひ、都甲氏の記事をご覧いただきたい。

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【寺村朋輝】

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