26年地価調査・福岡市、ホテルが上昇牽引、住宅は二極化へ(前)

2026地価調査 福岡市・基準地MAP

令和8年度地価調査(福岡市)各基準地点の価格推移(変動率10.0%以上)

 9月に公表された令和8年度地価調査(福岡県)では、これまでと同様、変動率順・価格順のいずれにおいても福岡市が上位を占めた。ここからは福岡市内に限って、今年度の地価動向を振り返る。

 変動率上位を見ると、住宅地・商業地ともに2ケタ(10%以上)の上昇が目立った。一方で、上昇幅はいずれも前年度から縮小している。市内で2ケタ増となった基準地は23地点。住宅地の最大上昇率は「早良区次郎丸3-10-28」の10.7%(前年13.3%)、商業地は「東区箱崎1-28-17」の14.6%(同18.6%)だった。

 地価は依然として上昇基調を維持しているものの、上昇ペースは明らかに鈍化している。価格順では、住宅地が「中央区地行3-29-16」の71万5,000円、商業地が「中央区天神1-12-3」の918万円で、いずれも前年に続いて首位となった。

変動率上位・住宅地 
2ケタ増は6地点に減

梅光園2-5-1、箱崎3-32-10、地行3-16-10、地行3-29-16

 住宅地で変動率が最も大きかったのは、「早良区次郎丸3-10-28」の10.7%(23万7,000円)。基準地に設定されて以降、高い上昇率を継続している。

 2位は「中央区梅光園2-5-1」の10.4%(63万7,000円)。4年連続で2ケタ増を記録しており、5年間で価格は37万円から63万7,000円へ、約1.7倍に上昇した。前年1位だった「東区箱崎3-32-10」は、13.3%から10.3%へ上昇幅を縮小させたものの、依然として高い伸びを維持し3位となった。4位は「中央区地行3-16-10」の10.1%(60万1,000円)。同地点も2023年度の13.3%をピークに上昇幅を縮めているが、2ケタ増を維持している。

福岡市変動率上位

    5位は「中央区地行3-29-16」(71万5,000円)と「西区周船寺2-20-6」(14万3,000円)が10.0%で並んだ。「地行3-29-16」は価格でも住宅地1位となる高価格帯の地点でありながら、2ケタ増を記録。「周船寺2-20-6」は22年度の5.5%から上昇幅を毎年拡大し、初めて10%台に乗せた。

 7位は「西区横浜1-4-10」の9.2%(11万9,000円)、8位と9位は「早良区城西2-5-30」(56万円)と「早良区次郎丸1-3-21」(22万円)が8.9%で並んだ。10位は「南区高宮2-10-25」の8.8%(61万5,000円)だった。

変動率上位・商業地
10位まですべて2ケタ増

 商業地の変動率首位は、「東区箱崎1-28-17」の14.6%(58万円)。同地点は23年に11.1%、24年に17.9%、25年に10.0%と推移してきたが、九大箱崎キャンパス跡地再開発への期待もあり、再び上昇幅を広げた。地価は21年の33万円から、5年間で約1.7倍となっている。

 2位は前年1位の「博多区綱場町9-28」で、14.3%(240万円)。地下鉄・呉服町駅から徒歩4分、中洲川端駅から徒歩6分の昭和通り沿いに位置し、令和3年都道府県地価調査では全国1位の上昇率(商業地)となった地点だ。前年度の18.6%からは鈍化したものの、依然として高い水準を維持している。

箱崎1-28-17、綱場町9-28、高砂2-6-23、博多駅南3-2-6

 3位は「中央区高砂2-6-23」の14.0%(101万円)。5年連続で2ケタ増を続け、21年の46万8,000円から5年間で約2.1倍となり、初めて100万円台に達した。同じく高砂2丁目で同地から徒歩2分、西鉄・平尾駅から徒歩10分の賃貸マンションが今年6月末に売買された。不動産売買などを手がける(株)トリビュート(福岡市中央区)が24年11月に取得し、発生した空室の一部を宿泊施設へコンバージョンしたRC造・地上6階建の賃貸マンション。トリビュートは東通建物(株)(東京都港区)に売却した。トリビュートの代表取締役社長・田中稔眞氏は、「高砂は、坪単価1,000万円以上となった春吉エリアとは異なり、ホテル立地と言い切れるエリアではありません。ただ、天神に近いこともあり、一定の宿泊需要は見込まれることから、本物件の一部を徐々に宿泊施設として運用してきました」とコメント。そのうえで、「今後も好立地の物件、賃料アップサイドが見込める物件、宿泊施設へのコンバージョンが可能な物件については、利回りが低くても積極的に取り組んでいきたい」と話す。

 4位は「西区西都1-18-10」の13.4%(30万5,000円)。JR九大学研都市駅から徒歩6分の立地で、5年間で地価は約1.8倍となった。周辺では複数の分譲マンション開発が進み、販売も佳境を迎えている。

 5位は「博多区博多駅南3-2-6」の12.8%(150万円)。地下鉄・東比恵駅から徒歩11分、筑紫通り沿いで博多駅からも徒歩14分の立地。中高層事務所ビルや共同住宅、営業所などが混在する商業地域で、賃貸マンションの売買に加え、開発用地としての取引も目立つ。

 6位は「城南区荒江1-28-20」の11.7%(46万円)。5年連続の2ケタ増で、地価は5年間で約1.6倍となった。早良街道沿いに銀行や店舗、マンションなどが建ちならび、一部では賃貸マンション開発も進む。

荒江1-28-20、姪の浜4-9-12

 7位は「西区姪の浜4-9-12」の11.5%(82万5,000円)。姪浜駅から徒歩2分で、これまで23年14.9%、24年17.8%、25年16.4%と高い伸びを記録。上昇幅は縮小したものの、5年間で地価は約1.9倍となった。

 8位は「中央区那の津4-8-11」の11.1%(30万円)。臨港地区として開発規制がある一方、天神に近い立地を背景に、12年の基準地設定以降、地価は上昇を続けている。

 9位の「博多区博多駅前3-21-12」と10位の「博多区竹下4-15-8」は、ともに10.9%。地価はそれぞれ375万円、61万円となった。博多駅前3-21-12は博多駅から徒歩7分で、16年連続の上昇。コロナ禍を挟んでホテル開発が進み、現在も比較的大型のホテル開発が複数進行している。地価は上昇に転じた11年比で約6.1倍となった。

那の津4-8-11、博多駅前3-21-12、竹下4-15-8

 竹下4-15-8はJR竹下駅から徒歩1分。基準地となった20年以降、7年連続で2ケタ増を続けている。上昇幅は縮小傾向にあるものの、地価は20年比で2.5倍の61万円となった。竹下駅から徒歩7分では、(株)カシムラホールディングス(福岡市中央区)が賃貸マンション開発を進めており、RC造・地上5階建のファミリー向け、単身向けの2棟を計画している。

(つづく)

【永上隼人】

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