福岡空港出資、議員条例案が39対20で可決~条例予算特別委員会
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重要課題から置き去りにされた市議会の反発
3月27日、福岡市議会 条例予算特別委員会の総会で、自民党市議団が提案した「活力ある福岡空港づくり基金条例案」が可決された。同条例案は、福岡空港の活性化、安全性の確保、空港周辺地域の地域振興などにおける福岡市に求められる責任を果たすことを目的として、基金を設置し、国から福岡空港の運営を委託される民間事業者に対し、出資を行うよう努めることを福岡市長に義務付けている。
同条例案および福岡市民クラブから提出された同条例案の修正案の採決は記名投票で行われ、ともに賛成39、反対20で可決。なお、修正案では、基金の運用益金の処理、財政上の措置に関する条文で「基金の目的」をあらためて明示するようにした。賛成は、自民党市議団16名、福岡市民クラブ9名、共産党市議団7名。福岡維新の会3名、みらい福岡市議団2名、無所属2名の計39名。一方、反対は、公明党市議団11名、自民党新福岡3名、福岡維新の会1名、みらい福岡5名の計20名。緑と市民ネットワークの会2名は採決の際に退席した。
本会議、常任委員会、条例予算特別委員会のなかで何度も議論が交わされた福岡空港の運営事業者への出資をめぐる問題は、出資の是非とは別に、市の一部の部署(港湾空港局)でのみ検討が進められてきたという意思決定プロセスの問題がある。地域経済における重要な交通インフラである福岡空港の公共性に対する福岡市の責任、周辺地域に住む市民の安全確保、騒音対策などについて、出資の有無がどう影響するのかなど、本来ならば、もっと時間をかけて慎重に議論をするべき内容が、高島市政の基本姿勢とも言える『議会軽視』によって軽々しく決められた感がある。
高島市長「具体性がない」、再議か?
国は3月24日に民間委託の実施方針を発表しており、そのなかには、福岡空港の関係地方公共自治体からの出資(株式の取得)は、“合計で10%以下”とする一方、役員については「非常勤取締役(1名)の派遣(無報酬)」としている。国交省の担当者によると、仮に福岡市が出資した場合でも、関係地方公共自治体の非常勤取締役は1名のみ。つまり、福岡県知事、福岡市長のどちらか1名ということだ。小川知事のもと、昨年6月に出資を表明した福岡県や国に対し、福岡市はすでに「出資をしない」方針を伝えている。現状をふまえ、福岡市の出資の可能性は残しつつも、役員の件に関してはフタをしたかたちだ。
高島市長は取材に対し、条例予算特別委員会の採決について『出資は必要ない』という考えをあらためて示し、「空港の出資について公共の責任を果たすというだけで具体性がなかった」と議会側を批判。明日28日の本会議で同条例案は可決の見通しだが、市長は、議会側に再度の議決を求める「再議」を要請することも可能(「再議」の場合、3分の2以上の賛成が必要)である。高島市長の判断が注目される。
【山下 康太】
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